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『ヴィオレ・パルル』の男前二人 (10)

※俺&リーダー※



その様子を見たリーダーは、マスターに何か言ってるのか。渋々と頷いたマスターに許可を貰ったのだろう、リーダーはアキに近付く。
 「アキ」

だが、リーダーの声は届いてない。
俺はコウタと言い合っている。
 「うるせぇっ。いい加減に離せっ」

その声に、二つの声が重なる。
 「アキッ」
 「アキ、こっち向いて」

その瞬間、俺はコウタの腕から、違う人物の腕の中に収まっていた。
とても柔らかな声が聞こえてくる。
 「アキ、ごめんね。俺がすれば良かったんだけど、既にケンに連絡係になってもらってたんだ。
だから連絡係のケンがメールしたんだ。
そのケンが人間違いして、全然知らない人に連絡したみたいで…。
本当にごめんね…」


こんな間近でリーダーの顔を見れるだなんて…。
しかも抱きしめられてるし…。
ああ、リーダー好き熱が再燃しそうだ。
俺、まだリーダーが好きだ。


 「アキ、聞いてる?」
 「は、はいっ、聞いてますっ」
 「ごめんね。ケンを怒ってやってね」
 「ケンを?」
 「ほら、やっぱり俺の言った事、耳に入ってないみたいだ…」

すると、リーダーは俺のおでこに自分のおでこをコツンとくっ付けてくる。
 「そうなんだ、ケンが一番悪いんだよ。
さっきコウタが言ってくれたが、斎藤アキヒロと福山コウタではなく、藤田アキヒロと山田コウタにメールしたんだって」
 「誰、その人…」
 「バンドメンバーのフルネームを間違えるだなんて、あり得ないよね?」
 「それって、コウタも知らなかったって事?」
 「そうだよ。さっき来た時にケンに噛み付いていたよ」

俺はリーダーに抱きしめられたままケンを睨み付けて言ってやる。
 「ケン、後で覚えてろよ」
俺の口調が喧嘩越しになったせいかビクついたケンは逃げようとしたが、コウタに掴まえられた。
 「俺とアキに土下座しないと許さねえからな」


リーダーは中々離してくれない。
まあ、俺的にはその方が嬉しいのだが。

 「あの、リーダー…」
 「で、月末がライブなんだ」
 「げ、月末?」
 「うん。もう練習時間は今日と来週だけなんだ。でね、新曲が3曲あるんだ。アキは初見でも大丈夫だと知ってるけど、コウタが心配でね」
 「俺は、いらない子では…」
 「それ言うと怒るよ」
 「気になって…」
 「だよね。ごめんね、リーダー失格だよね…」

そう言うと、リーダーは頬にキスをしてきた。
 「リー…」
 「ごめんね、という意味のだから」
 「リーダー、俺は大丈夫ですよ」
 「本当に?」
 「そりゃ、腹は立つけど、怒りを向けるのはリーダーでなくケンにだ。
それに、コウタもドラムで生活をしているので大丈夫ですよ」
 「そう言ってくれると嬉しいよ」
そう言って、リーダーはハグしてきた。


うわぁ…。
俺、もう死んでも良い。


俺に微笑みながら言ってたリーダーはケンの方を向くと、きっぱり言い切った。
 「ケン!お前のせいでこうなったんだからな。きちんとワビ入れな」
 「は、はいっ」


その後、ケンはコウタとアキに土下座をして、スマホの名前とアドレスを訂正した。



思わず溜息を吐いていた。
 「まったく…」
そんな俺にコウタは声を掛ける。
 「アキ、お前はあれで許せられるのか?」
 「うん」
 「なんで?」
 「あのさ、リーダーって温かくていい香りがしたんだ。すっごく落ち着けて、癒されるんだ…。
頬にだけど、キスされたし…」
その表情は見なくても分かるが、顔を見たくてコウタはアキの方をチラ見する。
本当に、柔かそうに蕩ける位の真っ赤な頬に、花が咲きそうな表情をしている。

そんなアキにビシッと言ってやろうと思ったコウタに、アキは言ってくる。

 「それに、知らなかったのは俺だけでなくコウタもだろ?」
 「ああ、そうだ」
 「俺一人だけなら許せないが、コウタも知らなかったんだから、まだ許せる」


それを聞いて溜息が出てしまったコウタだった。
 「ゲンキンな奴め…」












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大好きなリーダーに抱きしめられ、ドアップで囁かれるように言われるとは・・・
挙句の果てには頬にキスだからな(⌒o⌒)(^ )ちぅ
アキの気持ち分かるなあ~

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