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俺の隣は。。。 (5)

※利根川視点※


その日は、案外早くに来た。
機嫌が良いのか、見て取れる。
ワインが無いので、何を餌にしてやろうかと考えていた。

ダダダダダダダンッ、ッダダ・ダダンッ!
ダダダダダダダンッ、ッダダ・ダダンッ!

ん、誰か来たのか?
ドアスコープを覗くと高瀬が立っていた。

ドアを開けてやる。
 「どうした?」
 「いつも御馳走になってるので、たまには俺の方に来ないか?」
 「え…」
誘ってくれるだなんて今迄は無かったのに、どうしたのだろう。
すると、高瀬は言ってくる。
 「一人だと食べきれない量なんだ」
 「何が?」
 「にぎり寿司」
思わず即答していた。
 「おー!良いねぇ」
 「ビールもあるし、来いよ」
 「待ってろ。俺も持って行く」
 「いいよ。いっつも御馳走になってんだから」
 「でも、おかず必要だろ」

高瀬は手の込んだ物は作らない。
なので、昨日作った物を冷蔵庫から取り出し見せてやる。
 「ほら、これだ。昨日作ったんだ」
 「煮しめだ。美味そうっ」


隣の高瀬の部屋に行くと、リビングには4人掛けの長方形のテーブルの上に、5,6人分の握り寿司が大皿に盛られているのが置かれている。
これは、流石に一人だと食べきれないだろうな。
 「この量はどうしたんだ?」
 「これだよ、これ」
と言って、見せてくれたのは町内会の夏休み抽選券だ。
1等賞は温泉地へ二泊三日
2等賞は自転車
3等賞は握り寿司7人分とビール300mlが6缶
4等賞は米5キロを二袋
5等賞はティッシュボックス3箱


 「へー、3等が当たったのか。凄いな」
 「あと、5等もな」
 「俺も、5等だったぞ」
 「貰い物で悪いが…、一緒に食べて?」
 「喜んで」


景品として貰ったにぎり寿司と、利根川が持って来た煮しめに、高瀬は味噌汁を付けて出す。
にぎり寿司


2人して舌鼓を打っている。
 「流石に美味いな」
 「高級寿司処だからな」
 「二人でも食べきれるかどうか、分からんな…」
 「そうだな」

すると、高瀬は言ってくる。
 「政行も呼ぼうと思ったんだ。
あいつはカレーばっかりで美味い物を食ってないだろうなと思ったからな。
そしたら実家へ帰ってるって、返事があって」

その言葉にムカついた。
 「俺は、あいつの代わりか…」
 「いや、3人で食おうと思ってたんだ」
 「なるほど、3人なら食える量だな」
 「だろ?」

気持ちを抑えようとしていたら、高瀬の声が聞こえてくる。
 「あー…、腹いっぱいになったな」
 「あと一人分ほど残ってるぞ」
 「んー…、もう食えん。運動したら食えるかな…」

運動という言葉に、聞いていた。
 「最近、行ってるのか?」
 「どこに?」
 「スポーツジム」
 「ああ、行ってるよ。月1だけどな」
 「そんなんで、スポーツとは言えんぞ」
 「都心の中央にリハビリセンターがあるんだよ」
 「リハビリ…?」
 「政行が週1で通ってるんだ。
俺は週1なんて無理だから、月1か月2で通ってるんだ」

また政行、だ。
高瀬、お前は、まだなのか…?

 「まあ、政行と同じ日時は無理だから我慢してるけどな」
 
それは、可能なら同じ日時が良い、という事か。
高瀬の顔を盗み見すると、とても嬉しそうな表情をしている。

 「高瀬、お前…」
 「なあ、利根川。あそこプールがあるんだよ」
 「プール?まさか、お前っ」
 「そう、そのまさかだよ。泳ぐ事は出来ない。けれど、あそこのプールは開放感一杯で気持ち良いんだ。泳げなくても良いから、俺は、あの頃の自分を否定したくないんだ」
 「今迄は否定していたのか?」
 「んー……。否定と言うより、何だろうな。
がむしゃらに突っ走て泳いでた。今じゃ、あの頃の俺に、お疲れさんって言う気持ちさ」
 「なるほど、一皮剥けたって事か」
 「いや、違う。二皮剥けて大人になった。って事さ」

ふっ…。
 「一皮も二皮も同じだろ」
 「いーや、全然違うっ」
 「はいはい」 
 「二皮剥けて大人になったんだからなっ」
 「はいはい、そういう事にしといてやるよ」
 「利根川っ」
 「はいはい」


ムキになるお前は可愛いな。












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いーなー、抽選景品ににぎり寿司だなんて。。。
食べたい(@ ̄¬ ̄@)ジュルリ♪

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