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恐怖の夏…… (1)

ここは、日本。

オーストラリアにあるパースから日本に帰省した連中は、ある場所へ集まっていた。


 「何時まで経っても、日本は暑いなぁ…」
 「そうだね、ジメジメと湿気多いし…」
 「カラッとした暑さなら良いんだけどな…」
 「こういう所に20数年も住んでたんだよな…」
 「あー…、暑い、暑い…」
 「体格が良いと、益々熱っぽくて暑そうだな…」
 「黒とか銀とか関係なく毛の先っぽまで暑いよな…」
 「どこの位置でも、暑いのは同じだろ」

 「いーや、パースは、というより南半球は冬だっ」
 「あー…、戻りてぇ…」


そう言った途端、何かが上から降ってきた。
雨では無い。
もちろん、スコールでも無い。

水だ。

 「誰だっ、こんな事しやがるのはっ」

 「煩いっ!お前等は、何のために日本に戻ってきたんだ?」
 「そりゃ、誰かが帰省するって言うから」
水を掛けた相手は、一気に返してきた。
 「スズメ、そんなに暑ければ、とっととオーストラリアに戻れっ!
カズキ、そんなにジメジメが嫌なら、オーストラリアに戻れっ!
サトル、カラッとした方がいいのなら、日干しにしてカラカラにしてやろうかっ!
マサ、感慨深く言うほど年寄りになったのかっ!
ジュンヤ、お前は夏なのに長袖を着てるからだろっ!
ユタカ、体格が細い事を強調してるのなら、もっと食って豚になれっ!
タカ、体毛は、その地域の独特なものだ。日本では日が熱いから黒髪が一番なんだっ!
ワン、どこでも良いのなら、香港に戻れっ!」

 「ユウマは、暑くないのか?」
 「北海道だから涼しいと思わない事だな」

そう、この連中は北海道に来てるのだ。
 「それはそうと、帰省すると言っていた人は何処に居るんだ?」
スズメの、その言葉に溜息を吐いたユウマは言ってやる。
 「網走だ」
次はカズキが聞いてくる。
 「網走って、何があるの?」
誰が言ってやるもんか。
だから、ありきたりな言葉を返してやる。
 「監獄があるんだよ」
 「それ位知ってるよ。ボスが監獄に用がある筈ないだろ」

だが、マサは、その言葉で正解を口にした。
 「まさか、ロシアに行ったのか?」
その言葉に、ユウマ以外は驚いた。
 「え、ロシア?」
マサは、ポツリと呟いている。
 「この時期限定のロシア行きがある。それに、あのクマヤローはロシア語が出来る。
あの二人は、ロシアに行く為に網走に行ったんだ」
 
 「それじゃ、この北海道に来たのは、それが目的?」
 「あんの野郎…」
ユウマが、仕方なく口を挟んでくる。
 「見当違いな怒りだな」
 「何がだ?」
 「ボスは、この春、ここに来た時に言っていた。
そのボスに勝手に付いてきたのは、何処の誰らだ?」

ユウマの、その一言に皆は黙ってしまった。


確かに、ボスは二人だけで帰省するつもりだったらしい。
同行者は、例に漏れず博人だけだ。
マサは、自分も一緒に行くつもりだったのに、声を掛けてくれなかったのだ。
今迄は、自分も一緒だった。
日本に着いてからは、クマ野郎がボスと行動を共にして、マサは親の家に戻っていた。
それで良し、としていたのだ。
クマ野郎は強いからボディガードにもなるからだ。

日本に着いてから1週間経った。
何処で何をしてるのだろう。
ボス。
私は、もう用無しなのか…?


皆が皆、押し黙ってしまった。
スズメさえもが黙ってしまったので、お通夜みたいな感じだ。
そのスズメが、口を開いてきた。
 「分かったよ。何時までも、ここに居て悪かったな。それじゃ、2,3日ほど留守にする」
 「どこ行く気だ?」
 「私の生まれ故郷は新潟だ」
 「あ、今度こそ本物の帰省か」
 「ああ、こっからだと新幹線に乗れば2時間程で家に着くかな」
 「近いな」
 「そうだよ、姉ちゃんや義母弟達に会ってくる」
 「父親じゃないのか?」
 「とっくに死んでるだろ」
じゃ、な。

そう言って、スズメは札幌を後にした。


だが、他は東京近辺で、ユタカは福岡、ワンは香港だ。
スズメが居なければ、静かなものだ。
ユウマは、残りの7人に手伝わせることにした。
それは、有無を言わせない口調だった。
牧場の手伝い。
病院の手伝い。
どちらかを選べと言われ、ワン、カズキ、タカは迷わず病院の手伝いに立候補した。
残り4人は牧場の手伝いだ。
ジュンヤ、マサ、サトル、ユタカだ。

病院の手伝いとは、オペもやれば診察もする。
だから、まだ良い。
問題は牧場の方だ。
4人とも馬や牛に跨り鞭を揮って乗り回すのならお手の物だが、餌やりとか世話は無理だ。
いや、でもユタカがやっている。
そのユタカを見て驚くが、3人は同じ様に思っていた。
 (意外な奴だな…。こいつは、何処でやってたんだ?)

ユタカのしてる事を見様見真似で、3人は同じ様にやっていく。
それを窓から見ていたユウマも同じ様に思っていた。



一方、渦中の人は東京に居た。
長崎で墓参りを済ませ、福岡に住んでいる姉一家と過ごし、その翌日は東京に行き墓参りを済ませた後は弟と過ごし、北海道のユウマに連絡を取っていた。
 「そっちはどうだ?」
 「スズメは新潟に帰省して、残りは私のを手伝わせている」
 「そうか、明日そっちに戻るから」
 「ん。気を付けて」
 「ありがと」





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毎度お馴染のメンバーです。
今回は、場所は北海道!

この恐怖の夏……とは、どの様なものなのでしょうかね?
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