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4人の幼き戦士 (15)

ある日。
長女マドリーヌの婿が、ある男と二人でドイツにやって来た。
子供であるヒロを迎えに来たみたいで、その時、自分の弟だと紹介してくれた。
その男は、私の執事の子供を見つめていた。

別室で、私は、その婿に話を持ち掛けた。
 「自分の亡き後は、長女の子供であるヒロにしようと思っている」と。
即答だった。
 「自分の跡継ぎにするつもりでいる」と。
でも、考えておいて欲しいと言うと、帰国するまでには返事をすると答えてくれた。

どうか、考えを改めて欲しいな。
そう願っていた。


数日後、それは起きた。
その婿と一緒に着ていた年の離れた弟は、私が留守の間に執事の子供のフランツと遊んでいたらしい。屋敷内をバタバタと子供の様に遊び回って、ある部屋に入ってしまった。
その部屋は『御』の公務室だった。
レッドカーペットを敷き詰めた奥には『御』の椅子。
その椅子に座ったらしい。

その二人を見つけたのは、ホワンだった。
 「失礼します。……誰だ、お前はっ」


詳しくは知らない。
その二人は執事から説教されたという事は、後から聞いて知ったのだ。

私は、もっぱら新しい事業として医療に力を入れていたせいで、あまり公務室に居なかった事もあり、座る事は殆どなかった。
その男が、再び、その部屋に忍び込んで、ある事を采配していただなんて知る由も無かった。


ついに、長女の孫が日本に帰国する日が来た。
婿は、私に返事をしてきた。
やはり、自分の跡継ぎにする、と。

やはり無理だったか…。
 「それなら、ある土地を持っているので、それをプレゼントさせてくれ」
と言うと、彼は「ありがとう。病院を建てるつもりでいるので、その場所にさせてもらう」と言ってくれたので、嬉しくて安心した。


バイオリンをこよなく愛する私の孫。
柔道や合気道を主にして、帝王学やフォン・パトリッシュの家系史等も含め、言語に色々な勉学を師事させてきた。
それらが、ヒロの今後を作ってくれることを祈っている。
もう会う事は無いだろう。
そう思うと、私はヒロに言っていた。
 「君には従兄が居る。君の近くに、リョーイチとキョージが居るから、仲良くしてね」
ヒロはロシア語で返してくれた。
 「はい。お世話になりました」

私の得意なロシア語を、この孫は自分から教えて欲しいと言ってきた時は驚いたが、それでも嬉しかったのを覚えている。
ありがとう、ヒロ。


彼等が帰国して半年ほど経つと、ある男が一人でやって来た。
長女の婿の弟だ。
その男は、私に言ってきた。
 「フランツが好きなので一緒に居させて欲しい」

何を言ってるのだ、この男は。
すると、とんでもない事を言ってきた。
 「貴方の後は、俺が継いでやる。心配しなくて良い」
 「な、何言って…」
怒りが湧きあがり、それ以上、何も言えなかった。
しかも、タイミング良く執事が、執事見習いの息子フランツを連れてやって来た。
フランツが驚いているのを見て、確信した。
この男は、フランツに何も言ってなかったのか、と。
 「え…、何故ここに?」
 「フランツ、会いたかった」
その男はフランツを抱きしめていたが、フランツは焦っていた。
そうだろう。
目の前には一族のドンである『御』と、執事である自分の父親が睨んでいるのだから。


仕方なく、テストと称して男にチャンスを与えてやった。
及第点だな。
でも、このパワフルさは見習うものがある。
その時、私は気が付いた。
この男なら、ヒロとも血は繋がっている。
きっと、あの子を『御』にしてくれるだろう。
でも、この男は帝王学を学ぶ必要がある。
最も信頼のおける二人に、帝王学を仕込んで欲しいと願った。
その二人は、その男と同じ日本人だ。
文壇のワダと、武術のリューゾー。



そして、10年間。
その男は帝王学を学ぶ為にドイツに居た。





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ヒロとは、ヒロト。
博人の事です。
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