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俺の気持ちはブレない (27)

水泳エリアに着いたユウゴは、驚いてる。
(え、なんで、この時間に、こんなにも居るんだ?
たしか早くても14時半からだった筈…)

不意に肩を叩かれユウゴは声を掛けられた。
 「何をしに来た?」
振り返ると、アサミだ。
 「久しぶりー」
 「何をしに来たんだ?」
 「まずは挨拶だろ。俺は冬休みで一時帰国だよ」
 「お前に、そういった常識があるとは思わなかったよ。そうか、男漁りでは無いんだな」
 「なに、その言い方…。まあ、良いや。なあ、それよりも…、この時間にこの人数って…」
 「高校生だ。近隣二校が四校になっただけだ。それに、大学の体育学部も週2で来てる」
 「へえ…、何かあったのか?」
 「お前はテレビ見てないのか?」
 「見てるよ、アメリカチャンネルだけどな」
 「オリンピックは?」
 「見たよ」

アサミはユウゴをじーっと見つめて溜息を吐いてくる。
 「なんなんだよぉ」
 「うちのスタッフが金と銀で飾ってくれて、そこから増えたんだよ」
 「へー、凄いな」

今迄黙っていたマモルが口を挟んでくる。
 「あ、もしかして桑田さんですか?」
 「お宅、誰?」
 「そっちこそ誰?」
ユウゴがアサミに説明してくれる。
 「アサミ、こいつはニューヨーク支店のボスだよ」
その言葉で分かったのか、アサミは納得顔になった。
 「ああ、マモルか」
だが、マモルは驚いてる。
 「え、アサミ?嘘、昔の面影が無い…」

ユウゴは、マモルを無視して話しかけてくる。
 「なあ、政行君は?」
 「お前には教えん」
 「えー…、意地悪め」
無視されてムカついたマモルはアサミに話しかける。
 「ここには桑田政行と新田政行と二人居るんですね」
 「は?」
 「違うのですか?」
 「その情報は、どこから…」
 「ニューヨークのテレビでは、本店勤務の桑田政行とニュースでありました。
ユウゴは新田政行なら知ってるって言ってたので。まあ、私も新田政行とは面識ありますけど」

アサミを呼ぶ声が聞こえる。
 「アサミコーチ、電話ですよー」
 「はーい、分かりました」
ユウゴが応じる。
 「電話してこいよ。俺等はゆっくりだから」
 「漁るなよっ」
 「人聞きの悪い事を…」

でも、アサミは思っていた。
(ユウゴはニューヨークへ行って、常識人になりつつあるんだな)


マモルは、受付の壁を見上げている。
 「この人、オリンピックに出られた人ですよね。桑田政行さん」
 「ん…、ああ、パネルボードにしてるのか」
 「このアングルの写真って良いよね。ゴーグル掛けて目は見えないけど、自分の見据えた道に向かって真っすぐに向かってる。突っ走ってるという感じで…。凄くゾクゾクする…」



高校生が水泳ロビーに並び、アサミは挨拶をしている。
その様子を見て、ユウゴは呟いてる。
 「高校生って良いなー。新鮮で初々しい。だけど、俺より一回りも下だからな、論外。対象外だ」
その言葉を耳にして、マモルは苦笑している。
 「全く、ユウゴは…」


高校生が帰った後のロビーは、しーん…と静かになった。
先程の熱気とざわめきが嘘みたいだ。
そう思ってると、誰かの声が響いてくる。
 「桑田です。お兄ちゃん居ますかっ?今日こそは」
アサミは苦笑しながら応じている。
 「煩いですよ。静かにしましょうね」
 「お兄ちゃんは何処?」
 「出掛けてます」
 「何処に?」
 「仕事です。君は小学校はどうしたの?」
 「今日から冬休み」

あー、冬休みね。

 「お兄ちゃんは、何処に住んでるんですか?」
 「教えると行くでしょ?」
 「もちろんっ」
アサミは、その子と同じ目線になる様しゃがみ込む。
 「プライバシーに関わる事は教えません。それに、教えて貰ってるのでは?」
 「全然」
 「お父さんやお母さんも?」

ビクッと身体が揺れ、目が泳ぐ。
 「一人でここまでどうやって来たのか分からないが…。君には知らせてなくても親は知ってると思いますよ。」

その子は泣きだした。
 「泣けば教えてくれるとは思わない事だな」
 「テレビで見てたら、ここのスポーツジムだって…」
 「うん。8月も9月も10月も11月も、ずっと同じ言葉だね」

その子は何も言ってこない。
 「お兄さんは頑張り屋だよ」
 「うん、それは知ってる」
 「お父さんやお母さんに聞いてごらん」
気を付けて帰るんだよ、と言いながらロビーから外に出してる。


ユウゴは、アサミに声を掛けた。
 「アサミ、今の子は?」
 「桑田政行の弟だ」
 「小学生…?」
 「詳しい事は知らないが、あの子は後妻の子供だそうだ」
 「へー」
 「小5だって」
 「で、兄の方は?」
 「ユウゴ、お前はニューヨークに行ったら頭の回転が鈍ったみたいだな」
 「失礼なっ」


アサミは呟きながら水泳スタッフルームに入って行く。
まあ、どっちみち彼は日本に居ないからな…。



そう、その政行はカナダに居た。
モントリオールのスポーツセンターに。
本店ボスの嘉男を引き連れて、6ヶ月で自由形の強化練習だ。
モントリオールではフランス語が公用語であるため、フランス語の分からない嘉男にはチンプンカンプンだ。
スポーツジムのボスで水泳コーチもしている人がバタフライだけでは様にならない。
政行は親善大会等に招待されているので、本来なら5ヶ月なのだが、1ヶ月延長しているのだ。
なにしろ、ボスである嘉男が言ってきたほどだからだ。


週1の割合で、定期連絡がカナダからくる。
今週は二日前に連絡があったので、今度は来週だ。
水泳オフィスのPCを立ち上げるとメールが着いたランプが灯る。
それをクリックしてメールアプリを開いたアサミは、送り主がマサユキコーチなのを確認して開けた。
添付有りになってるので、クリックしてみる。

すると、画面に出てきたのは片手片足でスクロールとキックをして自由形を泳いでる嘉男の姿が撮られていた。
 「へえ…、泳げるようになったんですね」
そう返信すると、すぐに返事がくる。
マサユキコーチだ。
 『でしょ?クリスにも協力してもらって、やっと3ヶ月で形になったのです。
あと3ヶ月後には自由形をスイスイと泳げるようになりますよ。期待して下さい』

 「楽しみにしてます」と呟き、その言葉を送信した。

二人が居ないと寂しいが、でも自由形を泳げるようになったら背泳ぎも直ぐだ。

よしっ!

自分の頬を叩き喝を入れたアサミは、昼食を食べに外に出る。
自分の可能性に挑戦しているボスとマサユキコーチに触発され、アサミは自分の可能性探しをしようと決意した。
昼の大学生クラスが始まるまで時間はある。
駅の方まで足を伸ばしてパンフレットだけでも貰いに行くか。


☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★
政行の弟だと名乗る人物が現れる!!
だけど、肝心の政行はカナダに・・・。
ユウゴ、日本ではなくカナダに行けばよかったね(*≧m≦*)ププッ

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2 Comments

ますみ  

No title

” ユウゴ、日本ではなくカナダに行けばよかったね(*≧m≦*)ププッ ”

・・あさみさん、それ、言わない方がいいと思いますよ?
本気で行ってまたセクハラしそう(自覚無いのはユウゴだけ)。
あ、カナダを出禁にされるかも、だし、行った方がいいか。笑

桑田弟くん、ね。 お兄ちゃんと何したいのかな~~。

おー、ピッチピチの高校生がわんさかっ! ぜひぜひ出入り口前のサ店をキープしなければ! 目の保養・目の保養♥ 

2016/05/08 (Sun) 10:00 | REPLY |   

あさみ  

Re: No title

ますみさんへ


> ・・あさみさん、それ、言わない方がいいと思いますよ?
> 本気で行ってまたセクハラしそう(自覚無いのはユウゴだけ)。
> あ、カナダを出禁にされるかも、だし、行った方がいいか。笑
そうです。
なにしろ、王様が声を高らかに宣言しちゃいましたからね♪
 『マサに手を出す者は、カナダ王国をも敵に回す事になる』と。

出禁どころか、下手をするとユウゴ。。。



>
> おー、ピッチピチの高校生がわんさかっ! ぜひぜひ出入り口前のサ店をキープしなければ! 目の保養・目の保養♥ 

が、しかーし!
ユウゴは、着替え終わった高校生しか見てません(強調w
引率教師として来られますか?
堂々と来れて見学出来ますよ(*^m^*) ムフッ



2016/05/08 (Sun) 10:09 | REPLY |   

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