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俺の気持ちはブレない (23)※犯人は意外な人物※

翌日、高瀬が入院費を払ってくれた。
 「でも、フリーのお医者様で良かったですね」
 「どういう意味?」
 「クリニック等の医療機関だと色々と手続きがあって大変なんですよ」
 「高瀬…、払ってくれてありがとう。それに色々と迷惑かけて、心配させてごめんなさい…」
高瀬は微笑んで返してくれる。
 「あの日、私に話してくれたでしょ?あなたの決意を。それでおあいこです」
即答していた。
 「いや、おあいこじゃないよ」
 「金銭的な問題では無いです。精神的な事。それに、入院費は建て替えただけですから。
心配ご無用です」
 「ありがとう…」

クリスの嬉しそうな声がする。
 『ふふふっ、今日は特別にカナダから出れるぅ』
 『え、そうなの?』
すると、クリスはとんでもない事を言ってきた。
 『マサ。君の護衛として、我が国の国境隊が1個大隊護衛する』
 『はあっ?』
 『で、私も一緒にニューヨークへ行く』

すると、二人の疲れた声が聞こえてきた。
 『もう、ほんとに大変だったんだから…』と、デイブだ。
 『クリスはね、本当にサド王様だよ…』と、ホーキンスが言ってくる。
なので、政行も言ってやる。
 『オリンピック以外でカナダから出れるとは…』
その言葉に、クリスはこう返してきた。
 『だって、マサの一大事だよ?』
その心配そうな顔を見ると、それ以上は言えなくなり、一言しか思いつかなかった。
 『メルシィ…』
 『どいたしまして』


松井父の言葉がボソッと聞こえてくる。
 「うーん…、初めての経験だな」
その子供の弘毅君は嬉しそうな顔をしてる。
 「凄いなー」

何を言ってるのか分からない嘉男は、近くに居る弘毅君に聞いていた。
 「何を言ってるのか分からないのだけど、分かるの?」
 「はい。フランス語で…、クリスがニューヨークまでカナダの隊で護衛してくれるそうです」
その言葉に嘉男と高瀬は驚く事しか出来なかった。
 「は??」

そして、高瀬は弘毅君に聞いてる。
 「あの、フランス語分かるの?」
 「はい、5年間でしたが、ニューヨークで過ごしてました。フランス語は必須でしたから」
今度は政行に聞くため顔を向けると政行は言ってくる。
 「高校生とか大学生の時、夏は居なかったでしょ?」
 「そういえば…、こっちに来てた?」
 「うん。西海岸や東海岸での親善大会や、オリンピック公園で過ごしてた」
 「スランプ中も?」
 「そうだよ。気分的に違うんだよね。あ、でも、お父ちゃんには言ったよ」
嘉男さんの声がする。
 「なるほど、それで行きたい場所がモントリオールね」
 「うん。でも、結局ケベックシティ―まで来ちゃったけどね…」


西條先生の声が聞こえてくる。
 「はあ…。悪い事はしてないのに、家の前には警備隊がジャラジャラだ…」
 「先生、お世話になりました」
 「日本に帰ったら、すぐに抜糸だぞ」
 「はい」
 「運動は抜糸をしてからだからな」
 「はい、分かりました。ありがとうございました」
ほれ、これは診断書だ。
診断書を受け取り、車に乗る為に外に出る。
うわぁ…、ほんとに警備隊がジャラジャラだ。


その警備隊は、2台の車を囲っていた。
松井家のロールスロイスと、デイブのBMWだ。
クリスが教えてくれる。
 『山を突っ切って入る。だから2時間程で着くかな』
弘毅君の驚いた声がする。
 「2時間っ?ここに来るまで何時間掛かった事やら…」

この家の主である西條先生は教えてくれる。
 「この人は、カナダの王様なんだよ。ここから国境までは20分も掛からない。それに山を突っ切ると言われたから、現地民しか分からない裏道を通られるのだろう」
政行も、その言葉に付け加えてくる。
 「おそらく、ハンプシャ―ではなく海から山に入るのだろう。『クリス、ルートを教えてあげて』」
 『我々が先導する。大丈夫だ、危害は与えない』
 「警備隊を信じろ、ってさ」

 『マサ、私はロイスに乗る。だから、デイブの車に乗って』
 『うん、分かった』
本当は一緒に乗りたかっただろうに、クリスは警備隊の手前、そう言わざるを得なかった。

ロールスロイスには、クリスと高瀬と松井さんと松井家の運転手2人。
BMWには、デイブとホーキンスと弘毅君と嘉男さんと俺。
ドライバーは2台とも警備隊の人だ。

元宗さんと西條先生に別れを告げて車に乗り込む。
先頭の警備隊はセント・ローレンス川沿いを少し走らせると山道に入った。
その時、デイブのiPhoneに着信が入る。
 『モンクトンでランチ食べるってさ』
 『OK』

モンクトンは、まだカナダ国内だ。
恐らく、そこから秘密のルートを通ってニューヨークに向かうのだろう。
政行は時計が水浸しになってるので時間が分からないが、20分ほど走ったのだろう、車は建物の駐車場で停車した。警備隊は10人を残し、他はそれぞれにランチを食べに散った。
その10人と俺達はランチを食べる為、ホテル内に入って行く。
そこのレストランからは、大西洋を見渡せる店で心地よい風を運んでくれる。
クリスと話していた松井さんが、教えてくれる。
 「今は昼の12時だが、ニューヨークでは午前11時だ。今の内に食べて、車の中で寝れるなら寝ておいた方が良いよ」


1時間後の13時半きっかりに、車は出発した。
今度は完全に道では無い道を車は走っていく。デイブなんて心配顔だ。それもそうだろう、獣道かと思える程の道を車は走ってるのだから。傷なんて付けられたくないという思いだろう。
だけど、満腹感もあり、眠気が襲ってくる。

寝ていた、ぐっすりと…。


ふと目が覚めると、喧噪に包まれた見慣れた街並み。
目の前には自由の女神が立っているのが見える。
ニューヨークだ。
戻って来たんだ。
嘉男さんの声が聞こえる。
 「本当に2時間だな」
 「え?」
 「13時半に出発して、今は14時半過ぎ。ケベックシティ―から1時間半だよ。
どんなルートを通ったのか寝てたから分からないが、早いな…」


すると、車はマンハッタンのある場所で止まった。
ドライバーとして運転していた警備隊が車外に出ると、後部ドアが開かれる。
 
ああ、ここでおさらばか。
皆が外に出ると、正装姿のクリスが立っていた。

政行はクリスに駆け寄った。
 『クリス、ありがとう』
 『マサ、久しぶりに会えて嬉しかったよ』
 『俺、途中で寝てた…』
 『お腹いっぱいになって眠気がきたのだろう?』
正装姿のクリスは本当に威厳があり誇らしく、俺の知ってるスイマーのクリスとは違う。
 『とても素敵だね。クリスの正装なんて久しぶりに見たよ』
 『普段はラフだからね』

隊列の組み直しが終わったのか、警備隊は深く首を垂れる。
政行はクリスの耳元で、クリスだけに聞こえる様に言う。
その言葉に目を瞠ったクリスは嬉しそうに微笑んで一言だけ発した。
 『うん。私も4年後には日本に行くよ。待ってて』


クリスは英語に切り替えて言ってくる。
 『デイブ、ホーキンス。今度は4年後の日本だ。私はオール金を狙うからなっ』
二人は口を揃えて返す。
 『なーに言って…、オールは俺だよ』と、デイブが。
 『ドS王様、オールは私だよ』と、ホーキンスが。

その言葉にクリスは微笑み、一礼する。
 『皆様のご無事のニューヨーク戻りを確認させて頂きました。
出来るなら、私も犯人に一矢を報いたい。
だが、それは出来ないので皆様にお願いします。
マサは、私の大事な仲間だ!
今後、マサに手を掛ける奴はカナダ国をも敵に回すという事になる。
それを犯人に伝えて欲しいし、皆様にも了承して頂きたい。』

クリスは、政行を見て言ってくる。
 『マサ、私は君が戻ってくるのを待ってるよ。一日でも早くスランプから抜け出せる様にね』
 『サンキュ…』

 『それでは、これにて失礼する』
そう言うと、クリスはマントを翻して、隊列を組み直した隊の中央へ向かって行った。



30分後。
政行は『MEN'S スポーツジム』ニューヨーク支店に着いた。
犯人に会わせてくれるらしい。

最上階にあるボスルームで待ってると、マモル・ボスの声が聞こえてくる。
 「ボス、お帰りなさい。旅行は、どう…」

嘉男さんは、政行に言ってくる。
 「政行、こいつが犯人だ」


え……。


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ニューヨークへ無事に戻ってきた政行一行。
クリス、とても素敵です(∇〃)。o〇○ポワァーン♪


そして、犯人は意外な人でした。
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