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二人のピエロ (61)

 「捕まえましたっ!今日こそは逃がしはしませんよ、ポール様」

首根っこを摑まえられたポールは、気配が無かったので避ける事も出来なかった。
 「ワ・・、ワダ……」
 「それとも、アンソニー様と、お呼び致しましょうか?」
 「ごめんなさい…」

ワダの睨み顔は昔と変わらない。
昔と違い強面となったポールだが、ワダの睨み顔に俯いてしまった。
そのワダに連れて行かれた所は、イタリア王子のコンピュータ会社だ。
 「失礼致します。ポール様の頭から足先までの中身を知りたいので、お時間頂戴致します」
ワダはそう言うと、フィルに声を掛けてる。
何をされるのか不安だったポールは一安心した。
コンピュータはイタリア王子に教えて貰っていたので大丈夫だ。
ワダの声が聞こえてくる。
 「スキャンして欲しい」

まさか中身って、フィルはシンガポールの事務所に設置していたスキャナーを、こっちにも設置しているのか?
いつスキャンしたのだろう。フィルがワダにファイルを渡しているのが目に映る。
フィルは私を見ると、ニヤ顔しながら言ってくる。
 「以前、ある場所でしてたのですが。それよりも格段にレベルアップしたスキャナーですよ」

ファイルを見ていたワダは独り言を言って頷くと、私に言ってくる。
 「それではポール様。次、行きますよ」
 「今度はどこに?」
 「エドワール様の病院です」
 「エドの?」

すると、ワダはとんでもない事を言ってきた。
 「ボスの資格があるのかどうかをテストさせて貰います」
 「えっ?」

ほら行きますよ。
そう言って、ワダはポールの腕を引っ張ってコンピュータ会社を後にした。

コンピュータ会社のボスが呟く。
 「もしかしてエドは引退するのかな…」
すかさずフィルは応じていた。
 「年だからな」


そして・・・。
その年の9月。
この時、ポール45歳で、クリニック・ボスのトモは46歳。
オーストラリアのパースにて、ある組織が創立された。
組織名は『ブラック・ドラゴン』。
ボスはポールだ。
秘書はワダとニック。
そして、マックスを始めとする元側付が構成員だ。
マックスは、サブとして。
ミハエルは、エドワールの病院に勤め乍ら。
ショーンは、マサがボスをしている警備警護会社に勤め乍ら。
ヨゼフは、本名に戻してのジョージとなって、コンピュータ会社に勤め乍ら。
フィルは契約期間が終わるのだが、コンピュータ会社のボスからフランスに戻る前に実績を作る様にと言われ、5年間を『ブラック・ドラゴン』のコンピュータ専属となった。

マックスとミハエルとショーンとジョージは元々アンソニーを慕っていたので、再びアンソニーに、いや、ポールに誓いの言葉を口にしていた。
 『ブラック・ドラゴン』という名称は、さすがアンソニー様に相応しい。
なにしろ、アンソニー様の異名はデイモス・ドラゴンだからな。



そして、ワダはレンにも声を掛けていた。
オーストラリア・ドンの周りにいる9人にボロボロにされながらも、強い意志を持っては一人で自分の中の孤独と向き合っているようでいない。
そんな微妙な所を見抜いてのオファーだった。
だが、話を持ち掛けられたレンはマフィアなんて嫌だ、と拒否していたが、よくよく聞くとスポーツセンターだそうな。
会社名が怖そうで嫌だが、それでも大好きなポールの側に居られる。
だが、それは条件付きだった。
一つ、医療に長けていて、心身共に打たれ強い。
一つ、自分の力に慢性しない。
一つ、武術に長けている。
一つ、最低でも4ヶ国語の言語を理解して話せる事。
以上、四ヶ条だ。
これはワダがドイツに居た頃、ジュニアを含む側付達にも師事していた事だ。
フォン=パトリッシュは医療世界においては絶対の力を持っている。だから、側付にも医療を教え込んでいたのだ。

ドクターに向いてないと思っていたレンにとっては、それらは非情に難易度の高い条件だ。
医療に長けるだなんて…、しかも、自分の力に慢性しないって、努力しろって事?
武術に4ヶ国語の言語って…、僕には米語とフランス語だけ……。
そのレンにワダは説いていく。
 「医療とはドクターだけではない。マッサージ、薬、メンタル、ナース、Qとか他にも色々とある。
アメリカでドクターを取られたのなら、マッサージや薬ならこちらに居ても直ぐに取れる。
無理にとは言いません。本人のやる気と努力と根性が一番ですから」

その話は、先月の7月にスーザンがダニーと一緒にパースに来豪した時に持ち掛けられていたのだが、レンは両親には相談せずに自分で決めた。
本来なら相談すべき事だ。
何より「大好きなポールの側に居れる」という気持ちが勝ったのだ。
そして、契約が切れるまでの2年間、レンはアーノルドがボスをしている病院でレッドを切られる事も無く頑張った。
肝心の武術と言語だが、ドイツ語なんてドクターにとっては必須だと言っても普段から口にしないので忘れてしまう。
そこは、文武の文のワダ。
文壇が得意とするワダに掛かれば、誰も逃げる事が出来ない。
それはエドやヒロトにポール達を含めた8人に師事していたのだから、レンなんてワダの事は知らないし、ましてや逃げる術を知らない。
そのワダはレンに言語を師事しながら、エドを含めた元ジュニア達に帝王学や家系史等を再度教え込む事も忘れては無い。
なにしろ、自分の昼間の仕事はクリニック・ボスの頭蓋骨の中に在る脳だからだ。
時間はたっぷりとある。

そして、レンに武術を師事するのはヒロトとポールとフィルだ。
フィルはイタリア王子と龍三から、そしてヒロトとポールの二人は龍三から直に師事されていたのだから、あの元側付達に師事されると余計な事まで教え込むだろうと思っての配慮だった。
マックスでも良いが、彼は別名がキラーだから無理だ。
そう、側付でも上位3位までの三人と裏のNo.1であるウィルの四人は龍三が師事していたのだ。
ジュニア達のレベルアップを望んでいたからだ。

だが、レンはすぐ逃げてしまう。
まずは、そこからだ。
しかし、レンの弱点はポールだ。
ポールに首根っこを摑まえられては、真正面からヒロト様に突っ込まれる。
まあ、武術の方は任せよう。


ある日、シンガポールからメールが着いた。
相手はシンガポールマフィアの事務所になっており、アンソニーの父親であるホワン様からだ。
フィルが今迄の事を大まかに書いてはメールを送っていたから、その返事だ。
 『カッコイイ名前だな。一瞬、同種の組織かと思ったが、スポーツセンターだとはね。
発展を祈ってるよ。
ポール、お前のやり方で生きていけ。』

それをポールに見せると睨まれたが、フィルはどこ吹く風の表情でスルーしていた。
忘れてはならない、この言葉を付け加えて。
 「言っておくが、私は既に卒業している。監視役でもなければ秘書でもないからなっ」











ブラック・ドラゴン
(フリー素材です)


☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
part1の続きです。

そして、ポールもワダに捕まってしまった…。
そして、その翌年。
ポールをボスとした組織が創設された。

で、フィルはきっぱりと言ってますね。
さすが元側付No.1のお人。
相手が誰だろうが、言うべき事は言う!



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