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出会いは行きずり (4)

週が変わった翌週の火曜日の午後。
政行はスーツを着て履歴書を持参しては、あるスポーツジムに入っていく。

人事担当と面接をして、入社試験なるものも受けて・・・。
その場で即決された。
4月からの正社員としての雇用となった。
3月末までには住む所を決めて、4月には教えるようにと言われた。

夕方近くになり、スポーツジムの所長は人事担当者から報告を受けた。
 「中高大では水泳バカと名が付くほどの有名人で、自分も知ってる人です。
頭の成績もよいが、水泳を取って高校大学を私立にしたほどだ。
それに、ここのスポーツジムにとっても宣伝になる。
なにより数字に強いから、経理関係をも任せられます。」
所長は、その言葉で納得した。
 「なるほど、お互いにとって良いという事か」
 「まあ、お坊ちゃんだけどね」
そして、人事担当者は小声で付け加えてくれる。
 「どこかの誰かさんに目を付けられない事を祈るしかないな……」
 「あいつの好みか…」


所長のiPhoneが振動する。
誰からなのかiPhoneの画面をスワイプすると、今しがた話をしていた人物の名前だ。
電話番号を使ってのメッセージだ。
 『ありがとうございます。お蔭様で就職決まりました。今後ともよろしくお願いします。お礼まで』

ふむ、お坊ちゃんだけど礼儀正しい奴だな。
なので、メッセージを返した。
 『就職おめでとう。毎週水曜日は定休日だから、今夜23時半頃マンションにおいで』

さあ、どう応じてくるかな。
暫らく経って返事が着た。
 『明日は住む所を探すつもりなので、今夜、そちらにお邪魔します。よろしくお願いします』
それと、もう一つ。
 『今、荷物を詰めてます。お仕事、頑張って下さいね』

待ってるよ、と返事を書いて送ると、なにか嬉しくなってきた。
よし、今夜は久しぶりのエッチだ。


23時を20分程過ぎてマンションに戻ると、エントランスに政行の姿を見つけた。
 「あ、お帰りなさい。お疲れ様でした」
その言葉に、心の中がほんわりと温かくなるのが自分でも分かる。
思わず返していた。
 「ただいま。待ったか?」
 「いえ、そこの本屋に居ましたから」
 「何か面白いのがあったか?」
 「水泳の指導という本があったので、それを買ったんです」
 「勉強熱心だな。良い事だ」

すると、政行はスーパーの袋を前に出しては言ってくる。
 「スーパーで夜食になる物を買って来ました」
 「それはありがたい。どうぞ」

エレベーターは最上階に着き、嘉男は政行を玄関に入らせた。
 「お邪魔します」
そう言っては、キッチンに向かってる。
何を買ったのか興味を持って袋の中を見ると、食材ばかりだった。
 「え、もしかして、これから作るのか?」
 「簡単な物ですよ」
 「作れるのか?」
 「一応の物でしたら作れます」

へー、人は見かけによらないな。
その呟きが聞こえたのだろう、政行は作りながら言ってくる。
 「母親が死ぬまでは二人で一緒に作ってましたからね」
 「え…、死って……」
 「今、家に居るのは継母なんです。
俺の母は働き者で夕食しか一緒に居れなかった。だけど、寂しいとは感じなかった。だって、料理のレシピを見ながら、母に教えて貰いながら作ってたんですよ」


何とも言えない沈黙があり、それに居たたまれず着替える為に嘉男は部屋へ向かった。


着替えてると、良い匂いがしてくる。
その匂いに釣られてキッチンに向かう。
 「良い匂いだな」
 「あ、出来上がりましたよ。どうぞ、ごゆっくり」
 「一緒に」
 「風呂掃除して、湯張りしてきますね」
 「後でもいいのに」
いえいえ、今夜は泊らせて貰うので、させて下さい。
そう言いながら、政行は風呂場に向かって行く。

見かけは坊ちゃんだが、色々としてたんだな。
だが、時間が掛かり過ぎだ。
俺は食べ終わったぞ。
嘉男は風呂場に行くと、湯張りしながら泣いてるのか、すすり泣きが聞こえてくる。
もしかして思い出せてしまったのか、仕方ないな…、湯張りが終わるまで待ってやるか。


暫らく経つと、政行はキッチンに戻って来た。
 「遅かったな」
 「ごめんなさい。トイレを借りてました」
 「美味かったよ、思わず全部食べてしまった」
 「ほんとだ、完食してくれて嬉しいです」
 「お前は食べなくても良かったのか?」
 「はい、19時過ぎに食べたので。後は風呂に入って寝るだけです」
 「その……」
言い辛そうに、嘉男は何度も「その……」を繰り返している。
政行は、促す様に声を掛ける。
 「何ですか?」
 「4月からの住む所だけど」
 「明日、探しに行きます」
 「それも良いが、ここに住まないか?」
 「え」
 「使って無い部屋が二部屋あるし…。食費や水道光熱費は折半して出して貰えると良い」
 「でも、迷惑では?」
 「迷惑では無いよ。まあ、どうしても自分で決めると言うのなら、それでも良いが……」

 「うーん…、嬉しいけど」
 「一人暮らしをしてないのなら、」
嘉男の言葉を遮って政行は返してくる。
 「あ、あの候補はあるんです。ここの2階3階は1LDKで空き部屋が数部屋あるみたいで、明日部屋を見させて貰うんです」
 「もしかして、もう手を打ってる?」
はい、と頷きながら政行は呟いてる。

1LDKで5万円だけど会社が家賃を払ってくれるみたいだから、後は水道光熱費や食費にプラス自分の小遣いがあれば十分…。

その言葉を聞いた嘉男は、こいつはお坊ちゃんだけど中身は違うと確信した。
 「分かったよ。俺の方が甘えていた。それなら明日、一緒に行ってやる」
 「ありがとうございます」

不意に、政行は押し倒された。
 「え、ちょ、ちょっと……」
 「今夜は寝させない。」
政行をソファに押し倒し、服を脱がしては肌に唇を這わせていく。
 「ぅ…、ん……」
 「仕事をする様になったら、キスマーク付けられないな」
 「んっ…、あっ………」
 「俺はね、お前と一緒に居たい。何処が弱いのか、開拓してやる」
 「え、ま・・、待ってよ」
だが、ここで流されるわけにはいかない。嘉男からの快感を撥ね付ける様に、少しでも1㎜でも距離を開けるつもりで政行は嘉男の胸を押す。
 「あ、あの…、俺、男だよ?」
 「知ってる」
 「なら、なんで」
 「こんなことをするのか?って聞きたい事か」

うん、と頷く。
嘉男は、はっきりと言うべきだなと覚悟を決めると口を開いた。
 「最初はそうでもなかったんだけどな…。酔っぱらいのヘタレか、と思っていた。だが、そんなに酔って無く、寝てるだけだったので持ち帰った。
信じて貰いたいが、こう見えて女は苦手でね、男が好きなんだ」
 「は?それって、まさか………」

 「そう、そのまさかだよ。俺は君に一目惚れした。だから迷う事無く、その体を貰った」
そう言って嘉男は政行の身体のラインを指でなぞる。
なぞられると、政行の身体はビクッと反応し、熱くなる。

 「それに、君も嫌ではないだろう?だから、俺のマンションにも来る。違うか?」







☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
就職おめでとう!
そうだよ、自分の好きな事を仕事とするのは大変だけど、政行の事を少しでも知ってる人が人事担当者で良かったね^-^

そして、就職祝いに所長である人は、マンションに呼びつけてくれるし。。。
で、迷わずに行くのか
下心丸見えだよ、おっさんw←おいw


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