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出会いは行きずり (2)

気持ちの良い声が聞こえる。

 「こら、起きろ。いい加減に起きないとキスするぞ」

 「ったく……」

何か柔かいものが、俺のおでこに触れてる。
温かい感触がある。
それに、これは顔を拭かれてるのか?
まだ寝ていたいのだが、さっぱりした気分になったので目を覚ますことにする。

 「はよ…」
 「おはよ。いい加減に起きろよ」
 「はーい…」
返事はしたものの、まだ寝ていたい。
そう思うと同時に、ここは俺の部屋ではないと気が付いた。
ベッドから降りようとしたら、ズデーンと下に落ちてしまった。

 「ってぇー……」
 「今の音は何だ?」
 「お、降りようとしたら、落ちてしまった…」
 「もしかして、初めてだったのか…見かけはチャラそうなのに……」

初めてって何が?
それに、見かけが何だって…?
そう聞きたかったのだけど、痛みの方が勝っていた。
うー、ケツがいてぇ……。


ケツを押さえていたら、そいつに軽々と抱きかかえられてしまった。
 「え、なんで軽々と…」
 「お前、軽いな」
 「重いと言われるよりは良いけど、なんか嫌だな…」

そのままソファに座らされた。
 「ところで、名前は?」
 「は?」
 「名前を知らない。教えて」
 「別に要らないだろ」
 「俺の名前は」
そいつの言葉を遮ってやる。
 「行きずりの人。それでいいんじゃね?」

そいつは溜息を吐いて言ってくる。
 「分かったよ…。俺は新田嘉男(にった よしお)。覚えておけよ」
 「新田嘉男さんね。泊めさせてくれてありがとうございました。」
そいつは驚いたように目を見開いては、微笑んで言ってくる。
 「どういたしまして。ああ、それに言っておくが、俺は22歳だけど既に社会人だからな。
それ相応に」

思わず遮っていた。
 「に、にじゅうにぃ…?」
 「なんだ?」
 「見えない。社会人には見えるが、30を超えてるものだと思ってた…」
 「…そんな年上に見えるか?」
うん、と頷いてやると、新田嘉男は肩を落として項垂れた。
あ、よほどショックだったんだな。
なので、慰めのつもりで教えた。
 「あ、あのさ…、俺、22歳の大学4年生。就職難民の政行(まさゆき)って言うんだ。
それだけで許して」
 「就活はしてないのか?」
 「してるけど、内定が決まらないんだ」
 「まあ、このご時世なんだからな。大学行ったから就職出来るとは限らないからな」


あ、良い事聞いた。
今度、あの女に言われると、今の言葉を使わせて貰おう。
新田嘉男という人物に興味が湧いたので聞いてみる。
 「あ、あの嘉男君って呼んでも良い?」
 「ああ、良いぞ」
 「ありがと。嘉男君って、何の仕事をしてるの?」
 「サービス系だ」
 「それって、接客業?」
 「そうだな…、接客業になるかな」


ふーん…。
接客ね。
このイケメンが接客か。
女がほっとかないだろうな……。








☆∮。・。・★。・。☆・∮。・★・。
一夜明けて、お互い自己紹介をする二人。
はい、この物語の登場人物であり、主役級の人間です。



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