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~男の花園~ (28)※最終話は間近・・・※

式は終わった。

 「さて、ホテルへ…。 フィル?」

シンガポールマフィアのドンの声を無視して、フィルは王子を追いかける。
 「王子っ!」

フィルは、王子に聞いていた。
1月のオファー話の事について。
すると、王子は珍しく苦笑していた。
 「ああ、その話ね…。」
期待に目をウルウルさせたフィルは、次の言葉を待った。
 「ドイツから、こっちに帰郷した人達の事を聞いたのかどうか知らないが…。
フィル。お前の主人である『御』の屋敷では、スタッフを減らしてるんだ。意味分かるか?
そのお蔭で、ここにはパイロットやリペアマンにガードマンも、シェフも増えた。」
 「もしかしてっ…。」
 「そう、その『もしかして』だ。腕の良いコンピュータ技師が2人、私の会社に入ってきた。」
それを聞いたフィルは、項垂れて座り込んだ。

 「フィル?もしかして、泣いてるのか…。」
 「泣いてない。ただショックで…。御の言葉が信じられなくて、王子からも同じ様に言われるだなんて思ってもなかった。」
ユタカは、屈みこんではフィルの頭をポンポンと優しく叩いて言ってくれる。
 「フィル。お前はフランスに戻る気はないのだろう?」
 「うん…。ない。」
 「それなら、シンガポールでも良いから、独り立ちしてみろ。」
え!

思わずフィルは顔を上げた。
王子であるユタカは、続けて言ってくる。
 「最初は、シンガポールへ付いて行った。だけど、今では違う気持ちになった。そう思うなら、自分で会社を興せ。」
 「…できると思う?」
キッパリと言われてしまった。
 「今のままでは無理だな。ああ、そうだ。お前にパンフレットやるよ。」
 「なんのパンフレット?」
 「私の会社のだ。コンピュータを使い、プログラムの組み方に差し替え方等を教えてる。
ジョンと、そこのオーナーが初の生徒だったが、今では2人ともスキルアップした。
フィル。お前は他人に教える事は出来るか?学ぶ事やプログラムで遊んで物を壊すだけではダメなんだよ。育成も必要なんだ。」
 「それなら、指導者育成コースを作って欲しい。」
ユタカは苦笑していた。
 「あのね…。」

フィルは、王子を相手に愚痴っていた。
 「3ヶ月間、ここに居た。シンガポールに戻ると、私の居場所は無いに等しかったんだ。
エドワード様の言葉を思い出しては、頑張ってきた。」
フィルは、陰に隠れてるドンに向かって言った。
 「ドン。そこで隠れて聞き耳を立ててるのなら、近くへ寄ってきてください。
私は、あなたの所を卒業したい。私は居なくても、彼らは十分に出来る。
その様に、コンピュータの方も教えたのだから。そろそろ卒業させて下さい。」

マフィアのドンは、こう言った。
 「いつかは言ってくるだろうな、とは思っていたよ。
パースから戻ってきては、居心地が悪そうにしていたからな。
フィル。それなら主に言え。私は、君の主ではっ…。早いな、アイツは。」

フィルは、ドイツの『御』を目指して会場の中を走って行っては話しかけた。
それを見届けたマフィアのドンは、隣に居る青年に顔を向けた。
 「イタリア王子。フィルは、貴方を慕っているみたいだ。もしフィルが、ここに居たいと願えば、叶えてあげて欲しい。あいつは、私にとっては子供みたいなものだから。」
実の子供は、フィルみたいに可愛くはないけどな…。

イタリア王子は、その呟きを無視して応じた。
 「シンガポール・ドン。フィルは、私を慕ってるのではありません。
彼は色々と刺激を受けては、なにかをやりたいと思っている。
それに、彼は・・・。
ここのドンと香港マフィアのジュニアを慕っているのです。」

さすがに、この言葉には驚いたのだろう。
シンガポールマフィアのドンは絶句した。
 「えっ・・・。香港マフィアのジュニア?」
しばらく放心していたが、我に返ったドンは言ってきた。
 「どのような人ですか?」

イタリア王子は、こう応じた。
 「1人だけチェロを弾いていたでしょう。彼が、香港マフィアのジュニアですよ。
そして、式が始まってから挨拶が、あったでしょう。
あの時に、香港代表として挨拶された方が、香港マフィアのドンです。」
 「あの病院経営者の『ミスター』とも呼ばれてる…?」
 「そうです。」

フィルは、主人である『御』と話をし、無事にドイツを卒業することが出来た。
よし、もう一度、王子に言ってみよう。
王子に向かって走り近寄ると、ホワン様と王子が話をしてるみたいだ。
近くに寄ると、とんでもない言葉が耳に入ってきた。
 「…香港マフィアのジュニアを慕っているのです。」
え…、それは誰の事を言ってるのかな?
しばらく聞き耳を立ててると、王子は振り向かずに言ってきた。
 「お帰り。フィルの事を話していたんだよ。」
え…。
ドンも言ってくる。
 「フィル。お前は、香港マフィアのジュニアに懸想してるのか?」
なっ・・・!
フィルは、口をパクパクと動かす事しか出来なかった。
王子は、さらに畳み込んでくる。
 「3ヶ月も見てると、分かるよ。
まあワンは天然な所があるしマイペースだけど、イザとなったら強いからな。」
それは分かってる。
あのアランと対峙しては、彼の強さは見た目の温和さからは計り知れないものだ。

 (このクソ王子っ!何て事をドンに、ホワン様に喋ってくれるんだ…。
しかも、バレていたとは…。うかつだった。)
フィルは、ユタカに向かって毒づいていた。
心の中で・・・。



※※ あさみからの、裏話コメント※※
エピローグです。
総集編の総まとめという箇所ですね。
数本の小川が、1本の太い川になった。
そして、海へと注ぐ大河に近づいてる、という感じでしょうか。

ここまでくると、最終話まできたのも同じ?

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