自分の道は自分で決める! (43)
スズメ2号がいるなら丁度いい、働いて貰うか。連絡を付けると第一声がこれだ。
「なにをさせる気だ」
「エリオン副総監に、総監の状態を話して欲しいんだ」
「話しに行ったのだろう」
「話したけど、尻尾が掴めないんだ」
「ほう。万年4位でも手こずることあるんだな」
「ドクターとしての見解を思う存分喋ってくれ」
すると声音が変わる。
「いいのか?」
そう、こうでなくっちゃ。
「ああ、いいぞ。その代わり副総監の様子を教えて欲しい」
「まっかせなさいっ! フランス語で喋り倒してやる」
「ギャラは払うから、その点は気にするな」
「ギャラはいらん」
「いらんって……」
「思いっきり喋れる場があるなら、それだけで嬉しい」
「なら、夕食は奢ってやる」
「終わったら連絡する」
「よろしく」
こいつもスズメと同じで喋りたくてウズウズする奴だから乗ってくるとは思っていたが、ギャラ不要という言葉には驚いたな。
スズメもそうだが、こいつも抜け目がないから副総監の尻尾は掴めるだろう。
そのスズメ2号、もといシンから連絡があったのは17時を過ぎた頃だった。
「どうだった?」
「ふふふ。2時間ものを二つ持っていって正解だ」
シンのフラットに向かう途中テイクアウトして食料を買い、それを2人して食べる。
BGMは、4時間強のシンと副総監のやり取りだ。
「総監の監視医であり体内に残っていた物を回収したのは私です。それを詳しく説明しに来ました」
「どうして俺に?」
「私から見ると、貴方のほうが冷静で物事を進めていく人物だと思ったからです」
「もう1人もそうだけど」
「私は、自分の勘を信じています」
「誰かになにかを吹き込まれたのかな?」
「とんでもない。デカのマサから担当したドクターが説明したほうがいいと言われたのです」
副総監の声音が変わる。
「マサは……、他にもなにか」
「言ってましたよ。彼は、貴方がキレ者で男らしいし好きなタイプだと」
今度はガラッと明るい声音になった。
「そ、そうか。ま、上がれ」
「ありがとうございます。遠慮なくお邪魔します」
そういう会話から始まっていた。
「シン-」
「合ってるだろ」
「まあ、どちらかと言えば好きなタイプだけど」
4時間20分の録音を聞いていた。
「んー……。上手かったあ」
「なるほど。ショーンの指でこねくりイカされて寝てしまった総監を、あの副総監はヤッたということか」
「そうそう。それをショーンに返した。抱きかかえていたら総監が目を覚ましたので、彼に『自分の足で歩いて部屋に戻れ』と言われた総監は足を滑らし、川にドボンとなってしまった」
「まあ、川に沿って建っているけど」
「しかも、その一部始終を見ていたショーンも暇人だよな」
「足を滑らしたのは何故だろう」
「決まってるだろ。何回もナマで中出ししたんだ。歩けないほど、腰が立たない位にな」
「そういうことか」
「ショーンに横抱きされた総監は至福な表情をしていた位に愛していたんだな」
「総監が……、ショーンを愛していた?」
「そういうことだ。で、そっちはなにか掴めたのか」
「いや。なにもなかった」
そろそろお開きにしようかなと思っていたら、こう言ってくる。
「総監ともなるとペットや植木に話しかけるか……。あ、ほら、あれだ」
「あれってなんだよ」
「ボスがよくやっていたやつだ。皆に知られたくない時は土に向かって喋ったり物を入れたりして蓋をしていた。それが気になって仕方なかったんだよ」
「ああ、あれか」
懐かしいことを思い出してくれるものだな。
そういうことか、でもちょっと待て。
「総監の部屋には土や植木なんてなかったぞ」
「そっかあ。まあ、私は久しぶりに存分に喋れたので良かったよ」
「それは良かった」
「明日が通夜だっけ?」
「そうだ。明後日が葬式だ」
「大変だな」
「シンが居てくれて助かったよ。ありがとう」
「そう言ってくれると嬉しいな。それ要るんだろ。やるよ」
「いいのか?」
「私が持ってても必要ない」
「サンキュ」


「なにをさせる気だ」
「エリオン副総監に、総監の状態を話して欲しいんだ」
「話しに行ったのだろう」
「話したけど、尻尾が掴めないんだ」
「ほう。万年4位でも手こずることあるんだな」
「ドクターとしての見解を思う存分喋ってくれ」
すると声音が変わる。
「いいのか?」
そう、こうでなくっちゃ。
「ああ、いいぞ。その代わり副総監の様子を教えて欲しい」
「まっかせなさいっ! フランス語で喋り倒してやる」
「ギャラは払うから、その点は気にするな」
「ギャラはいらん」
「いらんって……」
「思いっきり喋れる場があるなら、それだけで嬉しい」
「なら、夕食は奢ってやる」
「終わったら連絡する」
「よろしく」
こいつもスズメと同じで喋りたくてウズウズする奴だから乗ってくるとは思っていたが、ギャラ不要という言葉には驚いたな。
スズメもそうだが、こいつも抜け目がないから副総監の尻尾は掴めるだろう。
そのスズメ2号、もといシンから連絡があったのは17時を過ぎた頃だった。
「どうだった?」
「ふふふ。2時間ものを二つ持っていって正解だ」
シンのフラットに向かう途中テイクアウトして食料を買い、それを2人して食べる。
BGMは、4時間強のシンと副総監のやり取りだ。
「総監の監視医であり体内に残っていた物を回収したのは私です。それを詳しく説明しに来ました」
「どうして俺に?」
「私から見ると、貴方のほうが冷静で物事を進めていく人物だと思ったからです」
「もう1人もそうだけど」
「私は、自分の勘を信じています」
「誰かになにかを吹き込まれたのかな?」
「とんでもない。デカのマサから担当したドクターが説明したほうがいいと言われたのです」
副総監の声音が変わる。
「マサは……、他にもなにか」
「言ってましたよ。彼は、貴方がキレ者で男らしいし好きなタイプだと」
今度はガラッと明るい声音になった。
「そ、そうか。ま、上がれ」
「ありがとうございます。遠慮なくお邪魔します」
そういう会話から始まっていた。
「シン-」
「合ってるだろ」
「まあ、どちらかと言えば好きなタイプだけど」
4時間20分の録音を聞いていた。
「んー……。上手かったあ」
「なるほど。ショーンの指でこねくりイカされて寝てしまった総監を、あの副総監はヤッたということか」
「そうそう。それをショーンに返した。抱きかかえていたら総監が目を覚ましたので、彼に『自分の足で歩いて部屋に戻れ』と言われた総監は足を滑らし、川にドボンとなってしまった」
「まあ、川に沿って建っているけど」
「しかも、その一部始終を見ていたショーンも暇人だよな」
「足を滑らしたのは何故だろう」
「決まってるだろ。何回もナマで中出ししたんだ。歩けないほど、腰が立たない位にな」
「そういうことか」
「ショーンに横抱きされた総監は至福な表情をしていた位に愛していたんだな」
「総監が……、ショーンを愛していた?」
「そういうことだ。で、そっちはなにか掴めたのか」
「いや。なにもなかった」
そろそろお開きにしようかなと思っていたら、こう言ってくる。
「総監ともなるとペットや植木に話しかけるか……。あ、ほら、あれだ」
「あれってなんだよ」
「ボスがよくやっていたやつだ。皆に知られたくない時は土に向かって喋ったり物を入れたりして蓋をしていた。それが気になって仕方なかったんだよ」
「ああ、あれか」
懐かしいことを思い出してくれるものだな。
そういうことか、でもちょっと待て。
「総監の部屋には土や植木なんてなかったぞ」
「そっかあ。まあ、私は久しぶりに存分に喋れたので良かったよ」
「それは良かった」
「明日が通夜だっけ?」
「そうだ。明後日が葬式だ」
「大変だな」
「シンが居てくれて助かったよ。ありがとう」
「そう言ってくれると嬉しいな。それ要るんだろ。やるよ」
「いいのか?」
「私が持ってても必要ない」
「サンキュ」

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