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自分の道は自分で決める! (25) 

 二騎が勢いよく駆ける。
 奥の手は、まだ出さない。
 だから右手で剣を持ち左手で手綱を握る。
 
 キーンッ!
 
 お互いの剣が交わる。
 
 カンカンカンカンッ!
 
 突きが出せないように接近戦にもちこんでいく。
 ラリーが続き、こんなのだと埒があかない。それに”くろちゃん”も動きたがっているのでいったん離れるかと思い、左側に強めの一本を打ち込む。
  「ツゥ……」
 
 すかさず馬を走らせ落ち着かせる。
 先ほどとは反対の位置にくる。
 
 馬を捨てて単身で戦うため、声を張り上げる。
  「オー……。Oh―― Oh! Oh―― Oh!」
 
 いわゆる鬨の声だ。
 一人で、この声を出すのは初めてだ。
 なにしろ、学生時代ではボスが第一声を出していたからだ。
 
 馬に乗ったまま右手で剣を振りかざしながら何回も声を張り上げていく。
 やがて、会場からも同じように「Oh―― Oh!」と声を出すようになり、会場全体が一体となる。そして、誰もが興奮と言う名の坩堝に入っていく。
 
 
 ルノーも声を出してくる。
  「ウォ――!」
 
 吠えるように突進してくる。
  「いいか、最初は躱すぞ」
 
 突きかラリーか。
 どちらにせよ最初は躱す。
 迎え撃つように、こちらも駆け出す。
 
 突きだ。
 
 左に躱し、こちらも突き出す。
 が、跳ね返される。
 すぐさま百八十度の方向転換させ接近にする。
 振りかぶる人もいるが、こういうときに振りかぶると隙がでる。
 剣を前に突き出したまま転換したら、相手は振りかぶっていた。
 
 隙あり。
 そのまま突き出すとは思っていなかったのだろう。
 ルノーの右脇腹にあてて駆け抜ける。
 すぐ手綱を引いて百八十度転換する。
  「くそっ」
 
 その言葉で分かった。
 ルノーは英語圏でもフランス語圏でもない。
 香港出身だ。
 
 剣道とフェンシングは違う。
 最初は戸惑っていたがフェンシングの基礎は突き出すことだと教えられた。
 だから見せ場は少なくていい。
 
 もう一度、馬を走らす。
 今度はラリーにする。
 
 カンカンカンカンッ!
 
 続くばかりで埒があかない。
 馬は前進のみの動物なので、そのまま方向転換する。
 
 二騎が駆け、同時にジャンプする。
 騎乗の人間が突き出す。
 着地するとすぐさま方向転換し、もう一度助走してジャンプする。
 今度はラリーだ。
 滞空時間でのラリーなので、よくて三本だ。
 
 お互い本気を出したくても馬が邪魔だ。
  「いいか。次は方向転換しないからな。怪我させたくない。あとは私一人で十分だ。お前は休め」
 
 しかたなさげにブルル……と応じてくる。
 愛い奴め。
 
 
 
 

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