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自分の道は自分で決める! (11) ショーン視点

 時間を遡ること10分ほど前。
 ショーンは操縦席で舌打ちしながら手を動かしていた。
  「くそ、あいつがバタつくから……。ああ、こんな所も」
 
 ため息が出る。
 こっちは色々としているのに、そいつは後ろの広場でゴロゴロと揺れている。
  「おい、静かにしろ」
  「揺れるのだから仕方ないだろ」
  「お前がゴロついて計器類を触ったり蹴ったりしてくれるから」
  「ならシートベルトで固定してくれ」
 
 余分なシートベルトなんて物はないと言いたかったが代用の物でいいんだと気づく。
  「それをどうするつもりだ」
  「固定する」
 これ以上、なにも蹴るなと罵りながら幅広の鞭で手摺りの太い棒に括り付けてやる。
 
 再び操縦席に座ると、大声が聞こえてきた。
  「う、うわぁー」
  「うるさっ」
 
 後ろを振り向くと、手摺りごとなくなっていた。
  「あれ、どこ行った」
  「ここだ、ここ。助けてくれっ」
 
 声のした方に目を向けると、色々な物に囲まれ床に寝っ転がっていた。
 しかも、こんなことを言ってくる。
 日本語だけでなくフランス語を始めドイツ、イタリア、中国、ポルトガル、スペインと、数カ国語の言葉で、同じ言葉だ。
  「このバカ。てめえが幅広でするから、こんなになったんだ。他の手を思いつけなかったのか。頭の回転が鈍い奴め。人殺しとエッチすることしか考えないスケコマシ野郎」
 
 その言葉は無視して言ってやる。
  「へえ、元気そうだな。そこなら安定してて大丈夫だな」
 
 
 しかし、よくとっさにあれだけ喋れるものだな。
 思わず笑っていた。
 この機も寿命かな。
 中がああなってしまったからには使えない。
 あれから20年か。
 俺のパートナー。
 どこに着くのか分からないが、不時着する。
 大陸だから回収しようと思えばできるけどな。
 
 揺れが酷くなる。
 後ろから声が聞こえてこないのは身体が揺れに対して動かないので安定しているからだろう。もっと早くにしておけばよかったな。
 
 成層圏を突き抜けるときは揺れるが、こんな揺れは初めてだ。
 
 その揺れが止まる。
 数瞬だが後ろで騒音がした。
 
 ガッチャーン!
 
 何かが壊れたのか。
 また揺れが来る。
 何かの暗示だろうか。
 
 
  「危なかったあ……」
  「安定がなくなったのか」
  「さっきの揺れと衝撃で反対側に大きく揺れたからね。お陰で助かった」
  「この機は不時着する」
  「どの辺りに?」
  「そこまでは分からない。色々と壊れてパーだ」
 
 
 ふいに機体が斜めになる。
  「え、嘘」
  「くそ。パラシュートをやる。これで生き延びろ」
  「ショーンは」
  「あるから」
 
 
 次の瞬間、戦闘機は何かにのめり込んでいた。
 
 バキッ!
 から始まり、メキメキ、メリメリッと。
 
 爆発しなかったのは不幸中の幸いだ。
  「どこかに着いたのかな」
  「みたいだな」
  「さっきの音って、どこかの建物に突っ込んだのかな」
  「そうなると色々とヤバイな」
  「窓から外が見れるかな」
  「ガラス割るか」
  「割るって、どうして」
  「ここまでなると仕方ない。使えないし、この機を捨てる」
 
 そう言うとショーンは機関銃を構え内側からガラスを割っていく。ついでにデータも消すと言って、色々な計器類も。
 二人して外に飛び出ると声が掛かった。
  「手を上げろ! おまえ等二人とも建物及び器物破損罪で逮捕だっ」
 
 
 この声は。
 しかも、目の前に見えるのは見紛うことなき東京タワー。
 日本に帰ってきたのか。
 ってことは、もしかして、この建物は。
 
  「おい、もう一人も手を上げろ!」
 
 
 
 
 
 

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そして帰国。

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