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自分の道は自分で決める! (4) 

 それから三日後の昼過ぎ、空港に向かう。
 その空港でショーンと出会った。
 ショーンの顔を目にした途端、ため息が出ていた。
  「なんで、こんなにも会うんだ……」
  「偶然だ」
 
 しかもゲートを通ったのでフランス国内に戻ることはできない。
 シンガポール行きのボーディングスペースには多国籍の人たちがいる。
 その中をかき分け走ってくる数人の男たちが居た。
  「いたぞ、あそこだっ」
 
 フランス語ではなく、ドイツ語だ。
 その証拠にムッシュでなく、ヘルと呼んでいる。
  「ヘル・コナー。もう一つだ。もう一つお願いしたい」
 
 それって殺人の依頼なのか。
 一体、誰を殺すのだろう。
 そう思っていたら、あり得ない言葉を耳にした。
  「これから帰ってデートに明け暮れようと思っていたのだが」
  「そこをなんとか」
  「恋人が拗ねると後が怖いのだけど」
  「お願いだから、もう一つだけ」
  「他の人に」
  「いや。ヘル・コナー、場所を移しましょう。こちらに」
 
 
 私も思わず聞き耳を立てていた。
 この犯罪者に恋人ねえ。
 その恋人は苦労しているだろうな。
 その人たちはショーンを何処かに連れて行ったみたいだ。
 殺人の依頼をする場に相応しくないから、どこか邪魔が入らないところで話しをするのだろうな。
 
 ショーンは30分ほどすると戻ってきた。
 私の目の前を横切るショーンからは微かだが硝煙の残り香が香っている。
 本を読んでいた私の前をわざわざ通るだなんてなにを考えているのだろう。
 結局は、依頼された仕事を、この男はやってのけたということだな。
 
 
 あ、そうだ。
 これから飛行機に乗るということを知らせておこうと思い両親にLINEで知らせると、ほどなく返ってきた。
 その文章を見て呟いていた。
  「そうだ、土産だ。買ってないや」
 
 免税店に入り両親への土産を買う。
  「ふふ。お母さんはチョコレート好きだからな。わざわざエッフェル塔の形になっているチョコをと、リクエストくれるんだから。まったく甘い物ばかり食べてると太るよ」
 面と向かっては言えない言葉を呟いていた。
 
 
 その免税店から出ると黒いスーツをビシッと着こなした5人の男に囲まれた。
  『こいつだ。着て貰おう』
 
 何処の言語なのか分からないが、英語は共通語なので大丈夫だろうと思っての英語で返した。
  「me ?」
 
 すると1枚の写真を見せてくれる。
  『こいつを知ってるだろう。なにを話したか』
 
 本当になにを言われているのか分からないので、自分は観光客で英語しか分からないと答えると、相手は英語に切り替えてきた。
  「この男となにを話していた?」
  「この男って誰?」
 
 その写真には私が写っている。
 しかも、男の人と談笑している。
 この人って誰だろう。どうして私はと思っていたらアナウンスが聞こえてきた。
 フランス語、ドイツ語、英語でのアナウンスだ。
  「覚えてないし、搭乗しないといけないので通してください」
 
 途端に、背中になにかを押しつけられる。
  「え、なにを」
  「思い出して貰う」
  「覚えてないと」
  「三日間一緒に居て話をしているのに覚えてないだと? ふざけるなっ」
 
 その言葉に驚いた。
  「三日間って……? まさか、ルーブルで殺された人……」
  「そいつとなにを話し、なにを渡された?」
  「なにも貰ってないし、話しって世間話だから」
  「どんなことだ」
 
 
 2回目のアナウンスが聞こえてくる。
  「あの、帰らないといけないので」
  「なら、ここで還ってもらおうか」
 
 その言葉を合図に、1丁だったのが4丁に増える。
 まさか、こんな所でぶっ放してくるのか。
 日本だと、こんなことは起きない。
 
 
 
 
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