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クルーザーで太平洋巡り! (29) 最終話です。

  「は……、は……」
  「うーん……、凄いキックだったねえ。感心、感激。感動したよ」
  「な……、で」
  「でも、当たりも掠りもしなかったけどね」
  「あ……、ん、たが」
  「ここに居る連中は弱いってことか」
  「あ、んた、が」
  「なにを言いたいって?」
 
 
 手をマイク代わりにグーにして差し出してくる。
 その手で触れられたい。その手の温もりを感じたいという衝動を抑え叫んでやる。
  「あんたが、強すぎなんだよっ!!!」
  「コンピューターばかりして身体を動かさないからだな」
 
 その返事にも叫んでいた。
  「くそったれー!!!」
 
 
 
 ショーンに対する友明のを見ていたからこその躱し方を身に付けた博人は、ご満悦だ。
 本宅に戻ると友明から声が掛かる。
  「あ、博人さん、聞きたいことがあるのだけど」
  「なに?」
  「クルージングしているときにプレゼントするって言ってたよね。なにも貰ってないのだけど」
  「ああ、あれね」
  「そう、それ」
  
 すると、とんでもない言葉を返してきた。
  「母の故郷であるカナダに行けて、叔母や叔父。はたまた祖父にも逢えた。それがプレゼントだよ。こんなのは嫌か?」
 
 思わず涙がでてきた。
  「血は引いてないのだけど……」
  「彼らにとっても嬉しいことだろう。血は引いてなくても、繋がりのある人間がいる。現世では逢うことはできないかもしれないけど、強く生きて欲しいって言われただろう」
  「うん。嬉しかった」
  「それが、私からのプレゼントだよ」
  「祖父ってことは、お爺ちゃんだよね」
  「そうだ」
  「王様らしく威厳あったけど優しそうな人でよかったよ」
  「叔父さんは若いけどな」
  「113歳なのに、31歳と称してるんだよ。サバ読み過ぎだよねー」
  「まったくだ。でも違和感ないというのが凄いよな」
 
 その言葉に、うんうんと頷いている。
 祖父に当たる人から言われた言葉を思い出していた。
  「血は引いてなくても、繋がりのある人間がいるのは喜ばしい。現世では、もう逢うことはできないだろう。出会えたことを嬉しく思う。お願いがある。長生きして、強く生きて欲しい」
 
 
 ありがとう。
  「博人さん」
  
 声が聞こえたのか、振り向いてくれる。
  「連れて行ってくれてありがとう」
  「どういたしまして」
 
 
  「ねえねえ、それよりタイマン勝負はいつするの?」
  「してきた」
  「え、もう? どうなった、と聞くのは野暮か……」
 
 すると、こう返してきた。
  「ぎっくり腰になってたらしく、ツボを押して戻したら元気になった」
  「ぎっくりって……」
  「楽しかったよ」
  「そう。楽しめたのならよかった」
 
 でも、見たかったな。
 
 
 
 
 
 
 
 
   (完)
 
 
 

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おまけがあります。


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