FC2ブログ

クルーザーで太平洋巡り! (27) 

 なのに、相手は言い切ってくる。
  「ギックリ腰か」
 
 この野郎、なんで分かるんだ。
 この1週間、スズメとマサとタカの3人を相手にしていた。
 感覚は研ぎ澄まされたが柔道苦手な私はタカの背負い投げから逃れようとしていたら、キたんだ。
 そのタカは投げではなく放り投げてくれる。
  「どうした?」
  「自分の変化に気付いてないのか?」
  「変化とはなに?」
 
 スズメもそうだが、マサも分からないので3人して分からない表情をしていた。
 だけど私は言っていた。
  「投げろよ」
 
 少し考えていたタカはボソッと呟く。
  「タカ、どうした?」
  「まあ、投げて戻ることに期待するか」
  「なんのこと?」
 
  「トリャー!」
 
 なんの前触れもなく背負い投げされた。
 しかも、掛けてくる言葉はこれだ。
  「どうだ。直ったか?」
 
  「気を失ってる」とスズメの一言に、
  「ユタカがどうしたって?」とマサは聞く。
 
 タカは黙って診察しだした。
  「ギックリ腰が直るかなと思って投げたのだけど」と言うタカの声に、
  「ギックリ?」とスズメの驚きの声と、
  「温めて2,3日静養しないと」とマサの焦った声がハモる。
 
  「だよな。ミスったか」
  「クマ野郎が帰ってくるまでに直りますように」
  「タカにしてはミスったかも」
 
  「帰ってくるの、いつだっけ」
  「明後日の……、いつだっけ」
  「昼頃かな」
 
  「夕方頃になるかな」
  「直るかな」
  「直って欲しいな」
 
  「直りかけという頃かな」
  「たぶん」
  「そうかも」
 
 
 途中から目が覚めたので3人のやり取りを聞いていた。
 言わずにおれなかった。
  「お前らって優しいなあ」
  「あ、目が覚めた」
  「気分どうだ?」
  「悪い。投げたのが間違いだったみたいだ」
 
 
 
 
 ただ、昼前に帰ってきたのは予想外だった。
 しかもユタカ探しをしてしまうことも計算外。
 
 二日前のことが頭の中を過り、唇の端を強く噛み締める。
 こうなると玉砕覚悟だ。
 せめて夕方にして欲しかったな。
 直りかけの、このときにしなくてもいいだろう。
 だけど、そんなことは言えないユタカだった。
 
 
 
 

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ



ユタカの回想でした。


関連記事

0 Comments

Leave a comment