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クルーザーで太平洋巡り! (26) エピソード 博人編

 荷物を置き、コンピューター会社へと向かう。
 トントンとノックをして返事を待たずに入ってやる。
  「ハロー。コンピューター・ボス居る?」
  「そこに……。あれ、何処に消えたんだろう」
 
 居ないならいいと返し廊下に出る。
 あいつが、この挑戦を受けないわけはない。
 まあ、喫茶に行って甘いものを食べるか。
  「いらっしゃいま……。あれ」
  「タピオカミルクティーとケーキ4個の詰め合わせをお願い」
  「テイクアウトですか?」
  「いや、ここで食べるよ」
  「お待ちくださいね」
 
 この夏、タピオカにハマってミルクティーにして飲んでいる。
 自分では上手く淹れられないので、買って飲んでいるのだ。
 席を探していると見つけた。
  「いた」
 
 勝手に目の前に座ってやる。
 声を掛ける前に相手に気付かれ声を掛けられた。
  「げ、いつの間に……」
 
 文句を言いたそうな表情で睨んできたのが、驚きの表情に変わった。
  「早くしたくてウズウズしているんだ」
  「帰ってくるのが早いな。昼過ぎかと思ったのに」
  「待ったなしの一本勝負」
  「異種を希望」
  「いいだろう」
 
 
 食べ終わると中庭に向かう。
  「やけに大人しいな」
  「元々、大人しい方だ。スズメが居ると賑やかになるけどな」
  「そこまで緊張するとはねえ」
  「煩い。緊張なんてしていない」
  「ならば、スタートだ」
  「こい」
 
 
 いきなり顔面にキックが入る。
 すんでの所で避けたが、このキックはなんだ。
 少林寺や合気道ではない。
 ましてや、このクマ野郎は柔道を得意としている。
 ハッタリか。
 拳と蹴りを連続で繰り出してくる。
 まさかと思うが空手か。
 ふん。付け焼き刃の空手だなんて私に叶うはずがない。
 
  「たあっ」
 空中でのキック三連発を見舞ってやる。
 そのつもりだったのに、太陽が真上に見える。
  「遊んでいるのか。それともアップか?」
  「アップだっ」
 
 
 跳ね起きると腰にクル。
 得意の空手と手刀、そして少林寺と合気道で対峙する。
 だけど掠りもしない。
 なぜだ。
 あの宝石(いし)の力か。
  「くそぉー。本気出してこいっ」
 
 すると高中低の三連発のキックを繰り出してきた。
 高い位置のキックは躱せたが、中低のキックはまともに受けてしまった。
 このキック力は、付け焼き刃の空手ではない。
 ならば、こちらも本気の空手だ。
 
 しかし、当たらない。
  「くそっ」
  「お前の本気とは、こんなものか」
  「まだだ」
  「息が上がってるくせに」
  「まだ」
  「コンピューターの虫は椅子に根っこを生やすんだな」
  「私は」
  「ふ。これが畏れられていた銀の殺人マシンか。銀の殺人魔ダーク君。だらしないねえ」
  「なにを言って」
  「あ、もしかして年寄りになったから力が衰えているのか。納得」
  「違うっ!」
 
  「当たりも掠りもしない。1週間、腕を磨けと書いたはずだ」
  「やってた」
  「結果が出てないぞ」
 
 
 言いたくない。
 言えば自分のドジさ加減を曝け出してしまうから。
 
 
 
 
 

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