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クルーザーで太平洋巡り! (18) 

 どこに居るの。
 板の間か?
 サロンか?
 どこにも居ないじゃないか。
 だから叫び続けていた。
  「博人さん、博人さん、博人さんっ」
 
 もう、日本名って不便。そう思い、呼び捨てにする。
  「ヒロ、ヒロ、ヒロ、ヒロ、ヒロ、ヒロ、ヒロ……」
 
 するとどこからか声が聞こえてきた。
  「あー、煩いっ」
  「ヒロッ」
  
 抱きつくと、頭と背をポンポンと優しく叩いてくれる。
  「どうした?」
 
 なにも言えないでいるとポケットの声が聞こえてくる。
  「ボス、それって。ショーンにエッチされたのか」
  「ちが」
  「いや、されようとしたが、十八番の声量ボイスでやっつけ逃げてきたってとこか」
  「やっつけてきたんだ」
  「ったく、ショーンの奴は見境ないなあ。まあ、徹はタイプでないから大丈夫だけど。ボスを狙うとはなあ……」
 
 
 夕食のときショーンは顔だけでなく腕なども痣だらけになっていた。
 恐らく博人さんが本領発揮したのだろう。
 普段はふわふわ柔らか表情とオーラだけど、いざとなると強いことを知っている。
 ショーンが可哀相だとは思ってない。
 ただ、その場面を見てなかったのが悔しいんだ。
 
 
 次の日の朝、朝食を済ますとポケットは操縦席に着く。
  「まさか、できるのか?」
  「まあ見てろ」
 
 ドヤ顔してポケットはクルーザーを操縦している。
  「どこに向かってるんだ?」
  「常夏の島」
 
 その言葉に、徹君と声が重なる。
  「ハワイだ!」
  「泳ぎたいだろ」
  「もちろんっ」
 
 スピードを上げてくれる。
 2時間足らずでハワイ諸島に近づくと、博人さんは小型ヨットを降ろす。
 ショーンに留守番を任せ、二チームに分かれる。
  「ほら、これなら操縦させてやる」
  「やった!」
 
 
 しかし難しいものだな。
 風との戦いになりそうだ。
 ポケットは難なく操縦してるし、徹君はと見てると操縦している。
  「ハンドル握るなんて久しぶりだ」
  「操縦したことあるの?」
 
 その問いに答えてくれる。
  「車の運転ならありますが、こういうのはないです」
 
 
 博人さんとポケットのやり取りが聞こえてくる。
  「若いだけあって覚えが早い」
  「たしかに。それはあるな」
 
 
 ん、なんか腹が立つのですが。
 こればかりはどうしようもできない。
 
 



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