FC2ブログ

クルーザーで太平洋巡り! (16) 超級特別出演者 part1

 誰かの息を呑む気配がする。
  「キャロ……」
 
 少し待ってると、凜とした声が聞こえてくる。
  「その花束は誰あて?」
 
 博人さんが応じる。
  「こちらの女主人あてです」
  「ありがとう。こちらに持ってきてくださる」
 
 博人さんは頷くので、持って行く。
 差し出すときに声を掛けていいものだろうかと迷いながら声を掛ける。
  「お会いできて光栄です」
  「憎らしいぐらいにそっくりね」
  「どなたにですか?」
  「姉に」
  「貴方の、お姉様にですか?」
 
 博人さんが声を掛けてくる。
  「申し訳ありません。なにも言わずにお連れしました」
  「博人さん?」
  
 博人さんは近寄ってくる。
  「友明。こちらはレディ・アニー様だ。姉上は、友明の母だ」
  「は?」
  「カナダとのハーフだってことは知っていたから」
  「え、この人が、お母ちゃんの……、妹……」
 
 目の前の女性は、にっこりと微笑んでくる。
  「姉は小さい頃に誘拐されたの。それでも居場所は分かった。日本に居るとね」
 
 
 その女性は話してくれた。
  「日本で、どのような生活をしていたのかは知らない。だけど会いたい。そう思って情報を求むと開示したら、20人ぐらいの男性が情報を持ってきた。その中でも、姉とそっくりな顔をしている人の写真を見せてくれた。だから会うことにしたの」
  「私の、この顔ですか?」
  「そうよ」
  「どのような顔をしているのを見せたのか気になるけど、聞かないことにしよう」
 
 そう言ったのに、その女性は教えてくれた。
  「姉と写っているツーショットと、貴方の澄まし顔と女装姿の3枚よ」
  「女装……?」
 
 博人さんは呟いている。
  「ドイツで歌っただろう。交流会で」
  「ああ、あの写真。……え、ってなに、まだ持ってるの? 削除してって言ったよね」
  「本当に、姉にそっくりで驚いたわ」
 
 声が聞こえた。
 そうでした、今は博人さんと言い合いする場面ではない。
  「母に……、私は似てますか?」
  「そっくりよ」
  「ありがとうございます」
 
  「姉の最期は?」
  「事故に巻き込まれ亡くなりました」
  「そう。事故で……」
 
 
 誰もが押し黙った。
 どのぐらいの時間が経っただろうか。
 女性は声を掛けてきた。
  「もういいわ。ありがとう」
 
 その声に応じたのは博人さんだった。
  「お会いして頂きありがとうございました」
  
 別れ際、その女性は博人さんになにかを耳打ちしているみたいだ。
 なにを言われているのかは分からないが、博人さんの返事はこうだった。
  「畏まりました」
 
 

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ


 

超級特別出演者 part1は、この方でした。
アニー、名前を借りました。
姉は元気ですよ~
私の実の妹の愛称です。(見てないと思うが、ここで書くw)

関連記事

0 Comments

Leave a comment