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クルーザーで太平洋巡り! (15) 

 なんとか服も決まり花束も買えた。
 花屋から出ると博人さんが居た。
  「お、ちゃんと華やかで上品な花束になったな」
  「お任せで作って貰った」
 
 視線を感じ花屋のほうを向くと、店員がうっとり顔をしている。
 そうか、博人さんに買わすと仕事してくれないからかと納得したが、それって私だと普通の男子だと思われているってことか。
 なんか癪に障る。
 まあ、いいけどさ。
 
 こっちだと言われ、少し離れて歩く。
 並んで歩けるほど私は自信がない。そうだろう、かたや富豪で、質のいいシャツとパンツとジャケットを着ている。しかも見かけのいい男。私は花束を持っている。他人から何か言われそうで……。
 
 30分ほど歩いただろうか、いきなり目の前が開けた。
 小高い丘の上で、とても見晴らしがいい。
 気持ちよさそうだ。
 なぜか、お母ちゃんを思い出す。
 
 お母ちゃん、ついにカナダに来たよ。
 お母ちゃんも来たかっただろうね。
 
 
 浸っていると博人さんの声が聞こえてくる。
  「こっちだ。なにを呆けとる」
  「いや、だって馬が通り過ぎたよ?」
 
 本当に、目の前を馬が通ったのだけど。なんだろう、幻覚かなあ。そう思い、今度は博人さんのほうを向く。
  「宮殿みたいだ。もしかして神の化身に会いに行くのか」
  「惜しい」
 
 え、惜しいってなに?
 それに近い人物に会うと言うことか。
 博人さんは臆することなく呼び鈴を鳴らす。
 そんなにも待たずに声が聞こえてくる。
  「どちら様でしょう」
  「オーストラリアのパースから来ました。ヒロト・フクヤマです」
  「どうぞ、お入りください」
 
  「友、行くぞ」
  「なんでもこい」
  「入るぞ」
 
 緊張しているのが分かるガチガチに強張った博人さんの手を握りしめる。
 
 
 ドアが開いたので、2人揃って中に入った。
 まさに宮殿という感じの建物だ。
 中は広く、どことなく親近感を受ける。
 どこでだったろう。
 
 博人さんは迷わず奥へと足を向ける。
 ある室のドアの前に立つと深呼吸している。
 目を閉じノックする。
 声が掛かる。
  「どうぞ」
  「失礼します」
  
 博人さんは、なぜか私を前に押し出して中に入った。
 むむ……、神の化身か何者か分からないが。
 男、友明。
 気張ります。
 
  
 
 
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