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クルーザーで太平洋巡り! (7) 

 キッチンとリビングがあるフロアにはサロンスペースもある。
 グランドではないが、電子ピアノも置いている。
 そのサロンではポケットの恋人が持ってきたバイオリンを奏でている。
  「昨日も思ったが、上手いな」
  「サンキュ」
  「まあ、あのポケットがニヤついてるよ」
  「惚気たいぐらいに最高だから」
  「ご馳走様」
 
 わははっと、お互いが笑い合う。
  「で、どこで暮らしてるんだ?」
  「東京。サトルの道場のある敷地内に”Ocean”という喫茶&バーを建てて、コンビニの3階に住んでる」
  「へえ、賑やかなところに住んでるんだな」
  「ある意味、賑やかだな」
  「で、常務として入った会社に彼と会ったのか。彼は、あまり喋らないんだな」
  「喋るぞ。ただ緊張してるだけだ」
  「どこか緊張する要素ある?」
  「まず、このクルーザーの内装。一般人には引くぐらいの豪華さだ。それに主の見かけがあれだからマシだけどな。だけどショーンの威圧感に緊張してる」
  「私は?」
  「威圧感ないから大丈夫だ」
  「褒められてると思っとく」
  「ああ、思ってくれ」
  
 
 ふふと、頬が緩んでしまう。
  「まるで昔の学生時代に戻った感覚だ」
  「やっぱり? 金魚の糞と一緒に医学に遊びに行ってたからな。違和感ない」
  「同じく」
 
 
 声を掛けられる。
  「敦さん。あ、と、友明さん」
  「今ね、君の演奏を聴いて感想を言ったら惚気られたんだ」
  「惚気って……。敦さん」
  「最高だからって言っただけだ」
 
 その言葉に、彼の顔は真っ赤になった。
  「可愛くて仕方ないという感じだな」
  「そうさ」
  「ご馳走様」
  「悟の相手と同学年だそうで、仲が良すぎるのが癪に障る」
 
 
 その言葉に耳を疑った。
  「え、悟の相手と同学年?」
  「だよな?」
 
 と話しを振られ、即答してくる言葉にも驚いた。
  「はい、親友です」
  「そう。君は優介の親友なのか」
  「どうして名前を……。優介を知っているのですか?」
  
 遠い過去を思い出すかのような表情をして返す。
  「私は、優介の父親と親友なんだ。優介が3歳だったかな。その時から私も一緒に優介の世話を手伝っていた。私にとって、親友の忘れ形見なんだ」
  「優介は小さい頃って天然だったのですか?」
  「いきなり」
 
 ポケットの恋人は喋りだした。
  「高校入学して知り合って親友になったんです。その時も思ったのだけど、天然だよなあ、可愛いなと思って」
 
 その言葉に微笑ましさを感じ、言っていた。
  「知っている限りでいい。優介のこと教えてくれる?」
 
 そう聞くと、目をキラキラさせている。
  「はい、喜んで」
  
  
  
 で、名前と顔を覚えた。
 岡崎徹。
 
 うん、いい名前だ。
 優介、とてもいい親友に巡り会えたんだな。
 
 
 
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優介という名前で、二人の距離が近づいた二人。

 
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