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クルーザーで太平洋巡り! (3) 

 クルーザーに乗り込むと、すぐキッチンが見える。
 オープンキッチンみたいだ。
 そのキッチンに1人の男性が立っている。
 キッチンだけでなくリビングにも目を奪われたのか、敦だけでなく徹も目をぱちくりとさせている。
 そんな2人の思いが手に取るように分かる友明は近くに寄る。
  「いらっしゃい」
  
 意識して柔らかめな声音で声を掛ける。その声に2人の強張りは緩んだみたいだ。
  「初めまして、福山友明です。こんなのを見ると誰でも驚きますよね」
  「初めまして、岡崎徹です」
  
 名前に気が付いたのか敦は、こう返していた。
  「友って、まさか医学のボスか」
  「お宅は誰?」
  「経済を卒業した宮……。金魚の糞と一緒に、よく遊びに行っていた腰巾着だ」
 
 その呼び名は懐かしいものがある。
 友明は記憶を総動員して思いだそうとしている。
  「腰巾着って……。腰巾着……。もしかして、ポケット?」
  「そういえば、そう呼ばれてたこともあったな」
  「懐かしい」
  「サメがサメなら、ボスもボスか」
  「あんなのと一緒にしないでくれ」
  
 
 その2人のやり取りに博人は呟いていた。
  「あれ? でも敦のほうが若いよな」
  「同期で卒業したけど、医学は6年だからな」
  「そっかあ、それでか」
  
 
 やけに博人のテンションが高いので、さっきから気になっていたので聞いてみることにする。
  「博人さん、今までになくハイテンションだね」
  「だって、あの有名なバイオリストが目の前にいるんだよ。嬉しくてテンション上がる」
  「そうなんだ。君もバイオリン弾くの?」
 
 急に話しを振られた徹は聞いていた。
  「え、あなたも弾かれているのですか?」
  「私ではなく、こっちのハイテンションがバイオリン弾きなんだ」
  「そうなんだ。聴いてみたい……」
  
  「徹。ボスはピアニストなんだ」
 その言葉に徹は目をキラキラと輝かせた。
  「凄いや。ピアノとバイオリンでリサイタルできますね」
  「君のバイオリンを聴かせて欲しいな」
  「はい。喜んで」
 
 友明にとって、徹は尻尾を振っている犬に見えた。
 その2人は持ってきた沖縄そばと餃子を昼食にと差し出してきた。
 その時、敦は友明の目が輝いたのを見逃さなかった。
 
 4人で食卓を囲んだ。
  「ああ、美味い」と友明。
  「んー。初めて食べた」と博人が言ってくる。
 
 
 その2人に土産話をしてやる。
  「沖縄に4日間、滞在していたんだ」という言葉から始まった。
  
 
 
 
 食後、部屋に案内すると敦は聞いてきた。
  「で、どこに向かっているんだ?」
  「ナホトカ」
  「あいつは、そんな所に居るのか」
  「愛犬と一緒だって」
  「へえ。このクルーザー、操縦してもいいか?」
  「いいよ。明日の朝8時に着けばいいから」
  「なら太平洋を縦に上るか」
  「到着地はピックしているから」
  「OK」
  
 
 
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