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最新作! クルーザーで太平洋巡り! (1)

 なにやら博人はご機嫌だ。
 ソファでうたた寝をしている友明をたたき起こそうとしている。
  「友。友、友、友、友、友、友、友」
 
 いい気分で微睡んでいた友明は博人の自分を呼び方に腹が立ち、目が覚めた。
  「煩い! 人を犬や猫にみたいに呼ぶな」
  
 しかし、博人は、こう言ってくる。
  「海、行こう」
  「海なんて、毎日、見てるだろ」
  
 そんな友明の文句をスルーして博人は、こう返す。
  「シンガポールから沖縄。そして南アメリカの最南端を通って帰ってくる」
  
 その図を頭の中で描いた友明は、一気に目が覚めた。
  「なに、その図は」
  
 博人は嬉しそうだ。
  「題して、クルーザーで太平洋巡り!」
  「クルーザー?」
  「1ヶ月遅れだけど、友に誕生日プレゼントをクルーザーで贈るから」
  「クルーザーを贈る?」
  「違う! クルージング中に、プレゼントするという意味だ」
  
 さあ、準備だ。
 
 いつにもなくハイテンションの博人を見て、友明はこれはなにかあると感じた。
 クルーザーで太平洋巡り? しかも沖縄に南アメリカ?
 それでも、これだけは聞いておきたい。
 だから言っていた。
 「博人さん、他には誰と行くの?」
 
 博人は機嫌良く返してくれた。
  「クルーザーの操縦士の資格を取ったとき、仲良くなった人がいたんだ。いつか、また会いたいねと言って。3人とも忙しくて都合が付かなかったけど、今回は3人とも予定ないから会おうと言うことになって。恋人連れて行くって言ったから、友も一緒だよ」
  
 思わず、こう返していた。
  「いいけど。私の予定を把握してる?」
  「もちろん」
  「へえ……。もちろんと言ってくるのか」
  「明日と1週間後の会議は外せないから音声チャットでの会議で。3日後のオベーションは10日後に変更しといた。それに表玄関には休日の詳細を書いた紙を貼っといた」
  「ああ、そう」
  いつも、そうやって手際よくやってくれると助かるのだけどな。なんて言葉は喉の奥にしまい込んだ。
  
  「で、留守の間はどうするの?」
  「休みだよ。連休。たまには羽を伸ばしてゆっくりしたいだろ」
  「いいけど」
  
  
 その時、博人は友明の様子に気が付いたみたいだ。
  「なにが不都合が?」
  「いや。どっかの誰かさんたちが様子見に来るかなと思って」
  
 言いたいことが分かったのだろう。
  「彼らにも休みは必要だよ」
  「まあ、必要だよな」
  「それに、これをポストに入れて置くから大丈夫だよ」
  
 そう言うと、一枚の紙をヒラヒラさせてくる。
 その紙を手に取り目をやる。
 笑っていた。
 
  「お分かり?」
  「あいつの悔し顔が目に浮かぶ」
 
 笑いながら聞いていた。
  「で、そのクルーザーってどこにあるの?」
  「シンガポール」
  「ってことは、まずはシンガポールまで飛行機だな」
  「ノンノン」
  
 フランス語で返されたのでフランス語で言ってやる。
  『エドのヘリか』
  
 次はドイツ語だ。
  『ナイン』
 
 ドイツ語で聞く。
  『まさか泳ぐのか』
 
 今度は中国語だ。
  『惜しい』
 
 中国語で聞く。
  『ボートとか』
  
 次はインド後だ。
  『実に、惜しい』
  
 だが、このやり取りに疲れ日本語で言ってやる。
  「どうやって行くの?」
  
 帰ってきた言葉は、これだった。
  「フェリーだよ」
  「フェリー?」
  「高速だと1時間も掛からない」
  「はやっ」
 
 
 

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