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貴方がいる。それが強くなれる秘訣だ! (9)

 だが、その後が大変だった。
 蓋を開ければ、研修会参加者のドクターは半数に、ここの病院勤務のドクターやナースたちはほぼ半数に減っていた。
 だけどヒロが生きていたことが嬉しかった。
 そして各部屋を回った。
 回診ではない。
 子どもが大人か、ドクターか一般人か、男か女か。それを確認するために回ったんだ。
 トモのことはニックに任せていた。
 普通なら、お付きが5人いるのに、私は一人で回った。だけどジョンが付いてきた。
 だからなのか、皆は私がボスだとは知らない。
 
 そのニックから連絡が着たのは、あと二部屋で終わるというときだった。
 だから終わらせて最後に行ったんだ。
 
 まずはニックに向かい「このままオフィスに行ってくれ」と言うと、ニックは直ぐに出て行った。
 
 次は、トモだ。
 ベッドに近寄り声を掛けてやる。
  「自分がどうなってここに居るのか、分かるか?」
 
 だけどトモは分からないみたいでキョトンとしていた。
 でも、次の言葉を聞くとショックを受けたみたいだ。
  「銃撃戦に巻き込まれ、撃たれたんだよ。それに…… 」
 
 しばらくなにも言えないでいたが、やがて口を開いた。
 言いにくかった。
  「トモ。私はメスが持ててのドクターだと思っている」
 
 何を言ってるのか分からないという表情のトモに、こう言っていた。
 「トモの……」と言ったきり、また黙ってしまう。
 
 意を決し、早口で言っていた。
  「オファーが来てるところには、私が断っておく。1週間後には退院だ」
 
 
 トモも、また、その当時を思い出していた。
 
 
 とにかくトモは病院に任せて私は調べていた。
 いったい誰がどんな目的で、こんなことをするのか。
 恥を忍んでマルクにもお願いしたんだ。
 だけど、マルクはこう返してきた。
  「私のお気に入りの側付きから連絡がない。それを調べてくれ」と。
 冗談じゃない。
 こっちはそれどころじゃないと即答した。
 
 だけど、そのお気に入りの側付きと言う言葉でフィルの顔が浮かんだ。
 フィルはどうしているだろうか。
 もし生きているならアドバイスをくれるだろう。
 だけど、連絡がつかなかった。
 
 そんな時、ジョンからトモが夜の巡回をしていると言ってきた。
 トモの病室に行き思わず怒鳴っていた。 
  「なに勝手なことやってる! 自分の身体がどうなってもいいのか!!」
  「そういうのなら、どうして入院が必要なのか教えてほしいね」
  「回診に来てるだろ」
  「NO! 誰も来ない。誰も来ないし、誰も何も言わない。もう一度言うが、私はどうして入院してるんだ?」
 入院の必要はあるのか?
 すると、ジョンが口を挟んでくる。
  「マスター。何も言ってあげてないのですか?」
  「うるさい。黙れ!」
 
 ジョンはトモに聞いている。
  「回診の時間が何時なのか、知ってますよね」
  「もちろん」
 変だな、眼科の先生は知ってるはずだ。
 オペしたのだから……とブツブツ言いながら、ジョンは電話していた。
 すると、ジョンの大きな声が聞こえてきた。
  「……なにバカなことを言ってる! 日本人だろうが、どこの国の人間だろうが関係ないだろ!」
 
 ジョンの電話を引ったくり言ってやる。
  「とっとと、回診に来い。私には、その権限はある。オペだけしてフォローは無しか?……オペの時は気が付かなかっただと? 1度も回診もせずに、退院させるつもりか? 診察は? それらも無しで、それでもドクターか?」
 
  「……分かった。ドクター、これは命令だ。これから自分の荷物を纏めて里へ帰れ! お前を解雇する。文句は言わせない。ボス命令として、5分後に貼り出す!」
 まったく、チャイニーズやジャパニーズは嫌いだとさ。
 
 ジョンに携帯を返し、取り出した紙に書いていたものを渡し指示を出す。
  「ジョン。それをスタッフボードに貼れ! 今すぐだ」
 ジョンはそれを受け取り、病室から出て行った。
 
 トモと2人きりになった。
  「とにかく横になれ。お前1人で何かをやろうとしてもダメなんだよ。やった分だけ時間の無駄なんだよ!」
  「ダメなのかどうかは、やってみないと分からない。特に子供なんて怖がっていて、抱いてやると安心して」 
  「うるさい! 入院患者は医者の言う事を聞くもんだ」
  「私だって医者だ」
  「分かってる。だけど、今は患者だ」
  「でもっ」
  「トモ!」

 ドンッ!と、壁に押してやる。 
  「……頼むから大人しく、言う事を聞いてくれ。寝ててくれ。何もするな。違うドクターを呼ぶ。回診も診察もなしだと、状態が分からない」
  「それは私も同感だな。はっきりと状態を教えてもらいたい」
 その言葉に安心したんだ。
 トモがベッドに入るのを待ち、ジョンからの連絡を待つ間、ホットタオルを作りトモの額に当ててやる。
 
 
 
 翌日、トモのフォロー診察が気になり病室へ行ったが居なかった。
 探していたんだ。
 あんな判断を貰ってどうしているだろうかと思って。
 屋上はどうだろうと思い、上がると居た。
 ヒロと話しをしていた。
 どんな話しをしているのか分からないが、そのうち抱き合った。
 
 
 それに私は病院から離れようとは思いもしなかった。
 スキルアップに参加していたドクターたちの勤務先への連絡。
 入院患者の連絡先を調べ、そこへの連絡等など。
 やることはたくさんあったからだ。
 
 
 
 
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