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貴方がいる。それが強くなれる秘訣だ! (8)

 いきなり散弾の音が鳴った。
 こんな所で散弾だなんて、マルクはなにを考えてるんだ。それほど拒否したのが悔しかったのかと思ったが、すぐに訂正する。
 マルクなら、こんな手は使わず私一人を狙うはずだ。
 それに、なんで今なんだ。
 今日はスキルアップ講習会だ。
 しかも、今日はトモが講師をする。
 それを聴こうと思っているんだ。
 
 だが、その散弾の音は中々止まない。
 警察はなにをしているんだ。
 もしかして敵対しているどこかのマフィアか。
 礼儀あるマフィアではないな。
 私の知っているマフィアは皆が礼儀あるから、こっちを狙うことはない。
 白衣を着ている限り、私も敵意を向けないし、あっちも向けてこない。
 
 院長室の窓から見ると道行く人々がバタバタと倒れていく。
 冗談じゃない。
 どうして今日なんだ。
 トモ……。
 今日はトモの初舞台なのに。
 今日が無事に終われば、トモは世界に知れ渡るドクターになる。
  「あの室長が声を掛けた奴は、やっぱり凄いな」
  「彼の契約はいつなのだろう。切れる頃に声を掛けようかな」
 等と囁かれるはずだったのだ。
 
 その囁きや噂を耳にして、”私が好きになった人だよ”と心の中で自慢していただろう。
 
 なのに。
 そう思っていると、どこからが爆発の音が聞こえてきた。
 もう我慢ならない。
 トモ、ごめん。
 
 
 白衣を脱ぎ捨て紺色のつなぎに着替えると、銃を2丁、手にする。
 弾帯を斜めがけにしてそれらを隠そうと丈の長い黒いジャケットを手にする。
 
 いきなり廊下を走る音が煩く響いてくる。
 バタンッと荒々しくドアを開かれた。
 入ってきたソイツに狙いを付け2丁とも構える。
  「私が狙いかっ」
  「違う。トモが……、え、その格好は」
 
 入ってきた相手を見た瞬間、安心した私はそいつしか見えてなかった。
  「それはどうした。さっさと処置してもらえ」
  「トモが撃たれたんだっ」
  「ニック。いいから早く処置してもらえ」
  「だからっ。トモが」
  「トモトモトモと煩いな。その腕をとっとと処置してもらえ」
  「アンソニー……」
  「いいから早く行け」
 
 だけどニックは動かない。
  「ニック?」
  「トモが撃たれてオペして貰っている」
  「それが?」
  「トモだ。私の皮膚科に居る日本人ドクターのトモ。よく知っているだろ。トモのことをっ」
 
 その時に気が付いた。
  「まさか、トモが……」
 
 だけど、近場で散弾の音と、この病院のどこかを吹き飛ばしたと思える爆発音と震動がきた。
 その音で私は我に返った。
  「いいから、とっとと処置してもらえっ! ボス命令だっ」
  「Yes!」
 
 ニックは走り出ると階段を飛び降りたらしく、着地の際にヘマをして筋を切ってしまった。
 だから、あいつはメスを持つことができなくなったんだ。
 
 
 


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博人と友明の説明に応えるように、ポールも自分視点で話しています。

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