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好きになったのは年上で意地悪な人 (76) 

 チリリン♪と鈴の音がする。
 
  「こんちは。生と梅とレモンを二つずつください……。あれ、優介?」
 
 奥から声が聞こえてくる。
  「あ、ちょっと待ってて」
  「はーい」
 
 少し待ってると出てきた。
  「ごめん、ごめん」
  「優介、お前泣いていたのか」
  「ちょっとね。時々やっちゃうんだよ。ひっくり返して怒られて。ごめんね、気にしないで」
  「まったく、そそっかしいのは変わってないんだな」
  「あはは……。え、と。生と、なんだっけ」
  「梅とレモン」
  「二足の草鞋って大変だね」
  「優介だって、そうだろ」
  「たまーにサボってる」
  「そうでもしないと身体保たないよな」
  「今日は遅番?」
  「うんにゃ、休み」
 
 
 奥では悟と宮田は喧嘩でも始めるのかという雰囲気だ。
  「おい、こら」
  「悪かったよ。怜が戻ってこないから私も帰る。邪魔したな」
  「おい、待て」
 
 
 店先では、優介と徹は和やかな雰囲気だ。
  「お待たせ」
  「ありがとう」
  「こちらこそ。いつもありがとね」
 
 その横を横切るように誰かが出てきた。
  「邪魔したな」
  「いえ。あ、あの」
 
 その人物に徹も驚いていた。
  「え、敦さん……」
 
 名前を呼ばれ振り向くと、徹が大きな目をして突っ立っている。
 「徹……」
  
 徹が手にしているのは、シュークリーム屋の袋だ。
  「それは私にか?」
  「え。あ、これ」
  「もらっとく」
  「はい」
 
 思わず渡してしまったが、すぐに気が付いたが相手は既に出ていた。
  「って、ちがーう! なあ、優介。あの人、どうかしたの?」
  「んー、ちょっとね」
 
 徹は叫んでいた。
  「俺のシュークリーム-!」
 
 
 それを見て何かに気が付いた優介は手際よくパパパッと、残りのシュークリームを詰めて渡す。
  「へ、なに?」
  「お金はいいから、追いかけて」
  「サンキュ」
 
 
 
 
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あの天然な鈍い優介が、何に気が付いたのだろう?
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