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好きになったのは年上で意地悪な人 (72) ソフトな性描写あります。注禁ではありません。

 うへえ、8時だー!
 
 そういや、月曜って早番だったよな。
 冷蔵庫に張り付けたシフト表を見る。
 月曜と金曜が早番で、火曜と土曜が遅番。
 第一と第三の水曜が遅番で、隔週で休みになる。
 早番だから9時から18時までで、遅番は17時からラストの24時まで。
 
 夕べは宮田常務が送別会と称して駅地下にあるバーに、飲みに連れて行ってくれたんだ。
  「何年、働いていたんだ?」
  「卒業してからだから……、23年」
  「なら金は貯まってるよな」
  「使わなければ」
  「まあ、使うよなあ」
  「すっごく痛くかったのは、師匠に、ある人物の情報をくださいと言って、仕事をお願いしたときがあって、割り引いてやると言われ、ラッキーと思ってたのだけど、いくら払ったと思います?」
  「悟は、ああ見えてガメついとこあるからなあ」
  「160ですよ、160!」
  「160ドル」
  「No! 160万円」
  「それは、また」
  「普通なら200万だと言われたけど、160万円って一年分のボーナスですよ。もう、あれが一番、痛かったなあ」
 
 宮田常務は微笑んでいる。
  「いい経験したな」
  「あれに懲りて、もう仕事を頼まないぞと思うようになりました」
 
 ははっと笑っている。
  「今度はボーナスのないアルバイトだな」
  「でもバイオリンのギャラには手を付けてないので」
  「別か」
  「はい。でも、ちゃんと申告してますよ」
 
 何かを思い立ったのか、こう言ってくる。
  「そうだ。徹に教えてやる」
  「なにをですか?」
 
 そう聞くと、耳打ちで教えてくれた。
  「えっ」
 
 振り向くと、チュッと唇に触れてくる。
  「も……」
  「もう一度?」
  「う……」
  「もってなんだ?」
  「さっきのって、本当ですか?」
  「本当だ」
  「うわー。でも俺は知らない。もう関係ない」
  「この9月末付けだ」
  「あと半年……」
  「それに、私は一年契約だからな」
  「あ、それなら」
  「5月になるとオファーがくる」
 
 思わず言っていた。
  「ずっと一つの所に居るのは嫌いですか?」
  「卒業して18年、商社勤めしていた。だけど引き抜かれ外に出た。それからだ。日本は定年有りの雇用だけど、外は違う。3年、もしくは5年ごとの契約が普通なんだ」
  「契約が切れても、住処は同じですか?」
  「県外になるか、国外になるか。それは、まだオファーきてないから分からない」
  「そうですか……」
 
 
  「そろそろ帰るか。明日は入社式に出席するように言われてるんだ」
 
 その言葉に笑っていた。
  「苦手ですか?」
  「できるなら断っている」
 
 思いっきり笑っていたら、こういうことを言われた。
  「あんまり笑いすぎるとエッチするぞ」
  「え、それは」
  「で、明日は初日から遅刻だな」
  「えー、それは嫌だ」
 
 なんとか頑張って笑いを止めたものだ。
 
 
 
 
 
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