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好きになったのは年上で意地悪な人 (66) 再会

  「さあ、今度は二人ペアになって上り下りします。先に手本を見せますね」
 手本の二人は走り上ると、前転で下りてきた。
 
  「それでは、順番にいきます」
 
 山本君は二番手の塩田君とペアになって、仲良く上り下りしている。
 後ろから榊原君の声が聞こえてくる。
  「え、峰岸さんとペア?」
  「私と? 榊原君よろしくね」
  「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
 
 ってことは、俺は目の前の冴木君とペアか。
  「冴木君、前転で下りようね」
  「走りましょうよ」
  「やっぱり?」
 
 二人ペアは順番がくるのが早い。
 二度目も走り下りた。怖かったのは言うまでもない。
 
 榊原・峰岸ペアは普通に上り、榊原に手を引っ張られ走り下りた峰岸は脚を滑らせてしまった。
  「峰岸さん、大丈夫ですか? すみません、こんなにも軽いだなんて思わなくて」
  「大丈夫だ。誰に対抗心を燃やしているのか分からないが巻き込まないで欲しいね」
  「すみません……」
 二度目は前転で下りていた。
 
  「それでは休憩時間10分とります」
 
 トイレに行き戻ってくると山はなくなり、段違い平行棒と鉄棒が設置されていた。
 マットは鉄棒の周りに敷かれている。
 
 身軽に段違い平行棒を走り飛び、鉄棒に捕まり数回回転すると飛び降りているスタッフもいる。逆に板の間から走りマットを踏み台にして鉄棒に捕まり、そのまま身体を揺らして段違い平行棒に向かって飛び降りている数人のスタッフもいる。が、その内の一人はマットにバク転していた。
 どこかで見たことがある人だなあと思って考え込んでいた。
 バク転してマットに華麗に着地を決めた人は、金髪が見えていた。
 しかも、グリーンの差し色。
  「ハーフのタケシか」
 
 その声が届いたのか、その人は俺のほうを睨み付けるような目で見てくる。
  「お宅、誰?」
  「おっと、やばい」
 
 しかも、近づいてくる。
  「どこかで会った?」
  「中学んとき」
  「えらく前だねえ」
  「そんときはロン毛だったからなあ」
  「ロン毛?」
 
 仕方なく、もう一つヒントを与えてやる。
 これで分からなければ別人だ。
  「空手やってた」
 
 そう言うと、分かったみたいだ。
  「もしかして柔道バカ姉の空手バカ弟?」
  「そうそう」
  「まー、懐かしい」
  「もしかして東に響く大学、卒業したのか?」
  「まさか、そこまで頭良くない。その大学卒業したのは所長と佐藤リーダーだけ。あの二人は頭もいいし、人気があるから名指しされるほど有名人なんだ。それに、手の届かない人種だからな。俺は名もない普通の一般で入った私大の体育学部だ。おま」
 
 タイミング良く声が掛かる。
  「はーい、休憩終わりでーす」
 
 
 うん、実にいいタイミングだ。
 俺も卒業した大学の名前を教えたくなかったからな。
 
 
 

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