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好きになったのは年上で意地悪な人 (53) 

 すると、違う声が割って入ってきた。
  「なにやってるんだよ。岡崎さんを放せ」
  「お前も煩い」
  「そういう抱き方は子ども向けだ」
 
 その言葉にため息を付いた宮田常務は末っ子に言っていた。
  「お前も、抱かれたいのか」
  「なにを、って……わあっ」
 
 当然ながら揺れる。
  「ひええっ、揺れたっ」と岡崎は悲鳴をあげる。
  「こ、こわ……」と末っ子は声をだしていた。
 
 そんな末っ子に宮田常務は言ってやる。
  「子ども向けだと言ったのは誰だ」
  「怖い-」と半泣きの岡崎に、
  「いいから下ろせ」と照れくささを感じていた末っ子だった。
 
  「私にすれば、おまえ等二人とも子どもだ」
  「意味が違う。岡崎さん大丈夫ですか?」
  「ぶじゃない……」
 
 久々に父に腰抱きされて嬉しいが、そうは言ってられない。
 ここは会社だからだ。
 そんなことを思っていると、父の声が聞こえてくる。
  「ふむ……」
  「なにが、ふむだよ。このタヌキが」
  「怜、降りろ」
  「言われんでも。てか降ろせ」
 
 父親の手から無事に降りた怜は浮遊感は残ってるものの、廊下とは言え地に足が付いているので安心していた。
 ふいに、岡崎さんの声が聞こえてくる。
  「俺も-! 降ろしてください-」
  「言ったろ。邪魔者は排除すべしだと」
  「怖いんですよ」
  「ならしがみついとれ」
  「えー」
  「煩い、黙れ」
  「怖くて怖くて」
  「だから、しがみついとれと言ってるんだ」
  「だって」
 
 とんでもないことを言ってきた。
  「岡崎君のほうが怜より軽いからな」
  「な……」
 
 その言葉に岡崎は開いた口が塞がらないでいた。
 末っ子の怜は父親への文句を口にしていた。
  「このタヌキ野郎。俺のほうが軽かったら岡崎さんを降ろすのかよ」
 
 その言葉を無視して、よっ……、と声をだし抱き直す。
  「うへえ、揺れたっ」
 
 思わず首に腕を回ししがみついてしまった岡崎に、宮田常務は言ってやる。
  「そうやってしがみついとくんだな」
 しかも、この言葉を小声で付け加えてくる。
  「でないと、またおでこに傷が付くぞ」
  「それだけは嫌だ」
 
  「怜、岡崎君の荷物をよこせ」
  「どこに連れて行くの?」
  「言うと、お前は喋るだろ」
  「日本に帰ってきたこと誰にも喋ってないよ」
  「みたいだな」
 
 そう言うと階段に向かって歩きだした。
  「親父」
  「煩い。邪魔者を片付けに行くだけだ」
  「だから、どこに」
 
 息子の言葉を遮るようにため息を付いて言ってやる。
  「夢の島」
 
 その言葉に、その場に居た皆はきょとんとなっている。
  「夢の島?」
  「は?」
  「それって、どこ?」
  「あ、もしかしてゴミの埋め立て地じゃないか」
  「あー、東京湾のか」
  「あれ、でも公園になってるよな」
  「そういえば、そうかも」
 
 
 
 
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