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好きになったのは年上で意地悪な人 (47) カミングする

 数十社という会社から、それぞれの代表として専務や常務を会社の顔としてのパーティーが年に1回開かれる。
 我が社からは瀬戸常務だ。
 
 瀬戸常務の発表が終わる。
  「あー……、疲れた、緊張したあ」
  「お疲れ様です」
  「もう出席したくない」
  「毎年、それ言われてますよね」
  「そうだっけ?」
 
  「重森君もお疲れ様」
  「毎年あるのですね」
  「大変なのは、この発表だけなんだけどね」
 
 その言葉に瀬戸常務は口を挟んでくる。
  「秘書は気が楽でいいよねえ」
  「料理美味しいし、持ち帰りもできますからね」
 
 重森君は嬉しそうだ。
  「え、本当に? ラッキー」
 
 
 そのとき、声が聞こえてくる。
  「瀬戸君、久しぶり」
  「安曇さん、お久しぶりです。一年ぶりですね」
  「それ言うなら、ここに来る奴は、皆一年ぶりだよ」
  「それもそうですね」
 
 瀬戸常務は、安曇さんと一緒に飲み物を手にして何処かに歩いていく。
 
 
 やれやれ、今日は仕事終わったかと思うと飲み物を求めにブースに近寄る。
  「岡崎さん、常務は」
  「大丈夫。あとは仲の良い人たちとお喋りに花を咲かせるだけだから。秘書は終わるまで待機なんだ」
  「なるほど。大変なのは最初だけなんですね」
  「そうだよ。ある意味、楽ですよ」
  「たしかに」
 
 
 
 重森君は飲み物を手にしてブツブツと言っている。
  「んー、秘書もヤリ手な感じの人がたくさんだな。お……、いいケツしてるのが居る」
 
 その言葉に、ブッと吹き出してしまった。
 (ちょっと待って。なんだって?)
 
 
  「おー、あのメガネ君、キュッと引き締まったケツしている。あっちの人って、ぷるんケツだ。おお、向こうに見える二人はカップルだな。目の保養だ、癒やしだ。来てよかった」
 
 思わず聞いていた。
  「重森君は、男が好きなの?」
  「え? あ、あれ、聞こえてました?」
  「思いっきりね」
  「あはは。んー……、岡崎さんならいいか」
  「何が?」
 
 とんでもない言葉を言ってきた。
  「私、腐男子なんですよ」
  「腐男子って……」
  「男が好きというのではなく、イチャついている男カップルを見るのが好きなんです。皆には黙っててくださいね」
  「それって、誰と誰がカップルだなんて見て分かるものなの?」
  「分かりますよ」
 
 
 うへえ、とんでもない。
 俺と宮田常務の関係を知られたくないなと思ってしまった。
 
 
 
 3時間後。
 料理を持ち帰り用にしてもらった桑田コーポレーション会社の3人は、嬉しそうな表情をしている。
 目の保養をたっぷりとして、ご機嫌な腐男子の重森君は鼻歌が出ていた。
 先に常務をマンションまで送り、俺は電車だからと言って、その場で別れた。
 
 
 明日はアルバイトの初日だ。
 頑張るぞ。
 
 
 
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重森君は腐男子なのね
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