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好きになったのは年上で意地悪な人 (44) 

 でも、そこから出ることはなかった。
 一人の客と目が合ったからだ。
  「なん、で……」
 
 誰かが背中にぶつかってきたみたいだ。
  「ぶっ。とーるー、車は急に止まりません。鼻打った-」
  「マジでお前の鼻が潰れたらサキ姉は飛んできて看病するだろうよ」
  「そうなの? サキさん……、って、いや、違う」
 
  「岡崎さん、まだ研修は終わってませんからね」
  「はいはい」
 
  「テツさん、お知り合いですか?」
  「幼馴染みなんだ。で、今は喧嘩中……」
  「だからかあ」
  「うんうん、そういう所は行きたくないよなあ」
  「納得したけど……。岡崎さん、まだ研修は終わってないので」
  「はいはい」
 
 
 山口君は、ここの常連客だそうな。
 俺は、あの客が気になっていた。
 誰も気が付いていないのは私服だからだ。
 
 
 
 反省会ディナーも終わり、トボトボと駅へと向かう。
 誰かの声が聞こえてくる。
  「タヌキっ! 親父、待てよ」
  「煩いな。付いてくるな」
  「日本に帰ってるなら連絡入れよな」
  「怜から聞いてるだろ」
  「俺は何も聞いてない」
 
 今度は怜だ。
  「来ると分かっていたら兄貴やシュウ兄にも声かけたのに」
  「怜、お前はいつ分かったんだ?」
  「9月末。ミーティングに出たら居たんだ。常務と呼べと言われて、はあ?ってなったんだよ」
  「そのことを誰かに言ったのか?」
  「いや、誰にも」
  「言わないと分からないじゃないか」
  「揺らさないでよー。ケイ兄って力強いんだから」
  「それから何ヶ月経ってると思ってるんだっ! あ、あれ……、どこ行った?」
 
 
  「ったく、恵斗は徹より煩いな」
  「なんで、ここが」
  「有休で休んでいたとき、場所はここになったと報告していたのを聞いたから」
  「そうなんだ……」
  「一緒に帰ろう」
  「はい」
 
 
 

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