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好きになったのは年上で意地悪な人 (35) 

 さてさて、1週間ぶりの会社だ。
 しかも今日まで有給休暇なので会議が終わると帰れる。
 いつも通りに会議の始まる20分前に会社に着くように行く。
 常務室の扉をノックしながら声を掛ける。
  「おはようございます」
  「岡崎さん、調子はどうですか?」
  「大丈夫ですよ。常務、来週は毎日通院するので16時上がりしたいのですが、よろしいでしょうか?」
 
 その言葉に先に応じたのは重森君だ。
  「毎日ですか?」
  「この週末に包帯が取れるかどうかを診てもらうので、あとは薬を塗りに通院するのです」
  「岡崎さん、本当に大丈夫ですか?」
  「重森君、包帯は巻ける?」
  「いえ、できません」
 
 すると常務が応じてくる。
  「私が巻いてあげるよ」
  「それでしたら、一番最初に患部を見せてあげます」
 
 包帯と湿布を剥がし取り、おでこを見た重森君は倒れてしまった。
  「え、なんで……」
  「それじゃ、貼り直すね」
  「お願いします」
 
 意外にも手際の良い瀬戸常務は俺の包帯を巻き直すと重森君に喝を入れている。
 目を覚ました重森君は泣きそうだ。
  「分かりました。通院は大変だと思いますが1週間頑張って常務の尻を叩きます」
  「16時まではいるのだから」
  「あ、そうか。16時から終業の17時半までですね」
  「そうだよ」
  「ああ、よかった。それならOKです」
 
 副社長室に秘書課長と一緒に行って来週の通院の件を話す。
 会議室についたのは7時半ちょっと前。
 「おはようございます」と挨拶して自分の席に着く。
 視線が自分に向いているのが分かるが無視だ。
  「おかざ……」
  「岡崎さん、それって」
 
 司会の声がマイクを通して聞こえてくる。
 会議が始まった。
 
 
 解散の声を聞き、荷物を手にしていたら副社長が声を掛けてくる。
  「岡崎君、行くよ。いいかな?」
  「はい。すぐ行けます」
 
 牽制の意を込めて皆の前で言ってやる。
 相手が副社長だから誰も引き留めることはできない。
 
 会議室に入ったときに見えた宮田常務の驚いた顔。
 何か言われるかな。
 1週間ぶりに顔を見たなあ。
 
 
 
 
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