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好きになったのは年上で意地悪な人 (32) 実家にて……

 明日から来週の金曜までの8日間の有給休暇だけど、モーニング会議が不安だと言われたので、そこだけ出勤する。
 週末の日曜に通院したら「ずいぶん、腫れが引いたね」と言われた。
 なので、翌日の月曜日は実家へ行き、二往復するつもりで残っている服を持ってこようと思っていた。そしたら、父に見つかってしまった。
  「徹、何をしているんだ?」
  「残りの服を取りに来たんだ」
  「お前、その包帯はどうした?」
  「大丈夫だから、気にしないで」
  「どこのどいつだっ」
  「いや、住んでいるアパートの壁に激突してなっただけだから」
  「だからと言って、そんな所に」
  「近くに知り合いの医者がいて包帯を巻いてもらったんだ」
 
 その言葉に父はため息を付いている。
  「まったく、お前は……」
  「今週いっぱい有給休暇で休みを取っているんだ」
  「どんな風になっているのか見てやる」
  「本当に大丈夫だって」
 
 すると女性特有の高い声が聞こえてきた。
  「あー。徹だ、お帰り」
  「なんで、こういうときに……」
  「徹、おでこはどうしたの?」
  「見る?」
  「うん」と力強く頷くので包帯を解く。
  
 解くのはできるが、湿布が中々なんだよなあ。
 そう思っていると、父の声がする。
  「湿布か。なら打撲なのか」
  「だから言っただろ」
  「わしが丁寧に剥がしてやろう」
 
 お父ちゃんは優しく剥がしているつもりなのだろう。だけど、こっちは痛い。
  「いて、いて、いて、いて……」
 
 するとお父ちゃんは言ってくる。
  「徹。歯を食いしばってろ」
  「は?」
 どういう意味なのか分からなかった。
 いきなり痛みがきた。
  「いーっ」
  「だから言ったろう。歯を食いしばれと」
  「うー……」
 
  
 思いっきり剥がしてくれたなあ。
 痛かったぞ。
 文句を言いたいが、痛みのほうが勝っていて言えなかった。
 サキ姉は俺の顔を覗き込むと倒れてしまった。
  「え、なんで?」
  「お前のおでこを見たら、そんなになるよなあ」
  「どんなになってるの? 昨日はずいぶん腫れが引いたねと言われたんだけど」
  「どうやったら、こんなたんこぶができるんだろう」
  「あ、あは……」
 
 湿布を丁寧に貼り直し包帯も巻いてくれる。
 そんな優しい面を持っている父に本当のことは言えず、笑いでごまかしていた。
  
 しかも、暇なら手伝えと言われ、家の掃除に借り出される始末だ。
 まあ、サキ姉が倒れてしまったから仕方ないや。それに、次の通院日は木曜だから、それまで居ることにした。居る間の食費が浮くからいいけどな。
 自分の部屋も掃除して整理する。
 この楽譜やCDやDVDをどうするかな。
 
 宮田常務はどうしているだろう。
 そういえば、連絡先なんて知らないな。
 あの人に抱きしめられたかったな。
 
 自分の部屋で思いにふけっていると視線を感じる。
 ドアを開けっぱなしにして掃除しているから覗かれているのは知っていた。
  「サキ姉、仕事頑張ってね」
  「う、うん。徹は……」
  「掃除終わったから夕食作るけど、何がいい?」
  「チャーハンがいい」
  「分かった。後で買い物に行く」
  「よろしくね」
  「はーい」
  
 部屋の窓から空き地になっている土地を見る。
 優介が家庭科部に入部してることを初めて知った日。
 その日のことを思い出していた。
  「優介。お前は俺の親友だ。宮田常務。俺は、あなたが好きだ」
  
  
  
 
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