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好きになったのは年上で意地悪な人 (30) 

翌日、頭が重く感じて目が覚めてしまった。
顔を洗って鏡を覗くと、おでこが赤く腫れ膨らんでいる。
 「えー、なにこれ」
 
早い時間だけど、お店開いてるかな。
師匠、こんな時間でも起きてるかな。

そう思いシュークリーム屋へ向かう。
チリンチリンッと鈴が鳴る。
 「いらっしゃ……、と、とお、る?」
 「師匠起きてる?」
 「病院行った方がいいよ」
 「何科に行った方がいいかな?」
 「そんなの俺に聞かれても……」
 
優介はクルッと奥に身を翻すと中に入っていった。
 「待ってて。悟さんっ、悟さーん」
   
 
耳元で師匠の声がする。
 「うーん……、見事に腫れているねえ」
 「悟さん、どうしたらいい?」
 「優介、温湿布と包帯持ってきて」
 「はいっ」
 
 「師匠」
 「まだ寝てていいぞ」
 「宮田常務に抱きかかえられて玄関に入るときに屈んだのですが、おでこをぶつけてしまって」
 
優介の声が聞こえてくる。
 「徹って本当に変わらないなあ」
 「なにが?」
 「ヌケてるよね」
 「怒りたいのだけど、怒る気が出てこない」
 
師匠は温湿布を貼ると包帯も巻いてくれる。
 「場所が場所だからなあ。1週間ほど大人しくしとけよ」
 「病院行くなら、何科がいいですか?」
 「たんこぶができたぐらいで行くのも。でも行った方がいいな。レントゲンも撮って診て貰え」
 「これって、たんこぶなの?」
 
 
師匠に紹介状を書いて貰ったので、お勧めの病院に行く。
その待ち時間に会社へ電話する。
その病院からの診断は、これだった。
 「打撲のため、こぶが大きく腫れている。ひび割れもしているので要注意するように」とのことだった。
 「たんこぶということでしょうか?」
 「そうだよ」
 
卓上のカレンダーを見ながらドクターは次回の通院日を決めてくれる。
 「ここは日曜や祝祭日もやっているんだ。今度は、今週末の日曜日に来てください」
 「お風呂は入れますか?」
 「お風呂よりもホットタオルで拭く方がいいな」
 「運動も無理ですね」
 「何をしているの?」
 「空手です」
 「当分は無理だね」
 「分かりました。今週の日曜日ですね」
 「お大事に」
 「ありがとうございました」
 

診断書を書いて貰い、会社に向かう。
ノックしながら常務のブースへと入っていく。
 「おはようございます。遅くなり申し訳ありません」
 「別にかま……」
瀬戸常務と重森君は俺の顔を見ると固まってしまったが、先に常務が声をかけてくれる。
 「岡崎君、大丈夫? 無理しなくていいよ」
 「ありがとうございます。明日頑張れば休みですので」
 
その日は定時帰りができそうなので、常務に提案していた。
 「常務、申し訳ないのですが……。明日から来週末まで有給を使わせて貰ってもいいでしょうか?」
 「いいよ。身体が資本だからね。ゆっくり休んで」
 「ありがとうございます。重森君、大丈夫かな?」
 
重森君は不安げな表情をして言ってくる。
 「来週の金曜ってモーニング会議の日だから、そこが不安です。他は大丈夫ですけど……」
 「なら、その会議は来るよ」
 「はい、お願いします。お大事にしてください」
 「ありがとう」
 
          
 

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一夜が明けた翌朝、優介が親友の変わり果てた顔を見た。
徹は、どんな顔に……?


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