FC2ブログ

好きになったのは年上で意地悪な人 (25) 

 めでたく六段に受かったので、師匠に11月にある会社の研修で自分が空手を教える事を話す。
  「それなら、ギャラを貰え。2,000でもいいし、3,000でもいいから」
  「どう教えればいいのでしょうか?」
  「自分が教えて貰ってるように教えるのが一番だぞ」
  「いやいや、皆は空手とは無関係な人達ですよ。そんな人に教えるなんて」
  
 溜息吐ついて出てきた言葉はこれだった。
  「仕方ないな。来週の水曜、師匠デビューと称して打ち合わせするか」
  
 思わず90度のお辞儀をしていた。
  「ありがとうございますっ。頑張ります」
  
  
 師匠デビューとしての打ち合わせの日、なぜか興奮していた。
 よし、頑張るぞ。
 そんな時、道場のドアが開く音がすると同時に誰かの声が聞こえてきた。
  「失礼しまーす」
  「はーい」
  
 少し大人びた声を出したのは優介だった。
  「えへ、空手を習いに来ました」
  「優介が……」
  「悟さんが、まるっきりの初心者の方がいいのではと言ってね」
  「そうなんだ」
  
 またもやドアの開く音と誰かの声が聞こえてきた。
  「失礼します」
  
 少し野太い声だ、誰だろうと振り向く。
  「げっ! なぜに……」
  「空手の師匠を会社でやるんだって? ヘルプ役をして欲しいって言われたんだ」
  「師匠は、この人になんて事を」
  「こう見えても伍段保持者だよ」
  「ええっ、空手まで出来るだなんて……」
  
 優介が口を挟んでくる。
  「それは昔でしょ。今は?」
  「優介君は手厳しいねえ。参段位に落ちたかも?」
  
 もう驚きの連発だ。
  「バイオリンだけじゃなく空手もできるとは」
  「あとナイフ投げもするよ」
  「ナイフ投げ?」
  「GWの時、龍をやっつけた時、短剣で参加したよ」
  「え、あの時の……」
  
 優介がまた口を挟んでくる。
  「ダビングして貰ったのを見たけど、新一さんの短剣が龍の鼻の穴にすっぽり入ったよね」
  「口をもっと開けさせないといけなかったからね」
 こうやって、とナイフレスで手首を捻って見せてくれる。
  
 あー、見たかったなあ。
  
  
  

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村



関連記事

0 Comments

Leave a comment