FC2ブログ

好きになったのは年上で意地悪な人 (22) 

 常務は、こんな事まで言ってくる。
  「まさか君が常務秘書だなんて思いもしなかったんだ。だから持ち帰ったんだけどね」
  「あ、あの、もしかして……」
  
 気になっていたけど、どうやって切り出そうかと迷っていた。
  「私がホモかどうかなのを知りたいと?」
  
 その言葉に頷いていた。
  「違うよ、ホモじゃない」
  
 その言葉に安心していた。
 すると、こう返ってきた。
  「私は男も抱ける。両刀だよ、バイなんだ」
  「え、両刀……、バイって……」
  
 思わず引いていた。
  「4人の子どもがいるんだ。妻が死んで10数年経つが、私が男を抱く様になったのは薫が死んだからだ」
  「薫さんって」
  「私の妻だよ。大学生の時に出会って学生結婚した人だ。元気一杯で空手が好きな人なんだけど、そのくせバイオリンも弾いていた。私がバイオリンに興味を持ったのは薫のお蔭だ。中でも”岡崎透”と言う日本人のバイオリスト。彼の演奏を何回か聴きに行ったほどだ。 ハネムーンは子どもがすぐ生まれたので10年程経ってから行ったんだけど……。 彼の演奏を聴きたいがために『ハネムーンは彼の演奏の追っかけよ』と言う言葉に苦笑したものだ。 ドイツからフランス、イギリスに渡ってフィンランド。音楽漬けのハネムーンだったな」
  
  
 ああ、たしか居たな。
 その頃は、まだ中学生だった。
 数組の追っかけの中に日本人の男女がいた。
 珍しくて覚えていたほどだ。
  
  
  
  「冷めないうちにどうぞ」
 その言葉に掌が示している方を視線を向けると、リビングテーブルに皿が並べられている。
  「頂きます」
  
  
  
  
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村



関連記事

0 Comments

Leave a comment