FC2ブログ

好きになったのは年上で意地悪な人 (10) 

 気が付くと、しーんと静まっていた。
 今は何時だと荷物から腕時計を取り出して見る。
  「お、あと少しで終わるのか。トイレ行ってから覗こう」
  
 ああ、今日は本当に疲れた。
 まさか、66発を受ける羽目になるとは思いもしなかったなあ。
  
 トイレに籠ってると、自分の部屋に戻れる体力と気力が出てきた。
 よし、帰るべ。
  
 トイレから出ると、優介と目が合った。
  「あ、トイレだったんだ。良かった、顔色が元に戻ったね」
  「さっき目が覚めてぐっすり寝た感じがしてる」
  「吐き気は?」
  「ないよ」
  「良かった」
  
  
 そのまま道場に向かった。
 同じ階にあるのに、皆の声が聞こえてこないのは防音設備が整っているんだろうな。
 そりゃ、誰でも寝て帰るよな。
 なんて思いながらドアを開けて顔を覗かせる。
  「あ、戻ってきた」
  「若いっていいな」
  「俺の時は、ぐっすりで気が付いたら朝だった」
  「俺の時は昼まで寝てたな」
  「年に比例するのか?」
  「かもな」
  
 師匠の声が聞こえてくる。
  「図々しくも昼飯を要求してきたのは誰だっけ?」
  「だって、お腹空いてたんですよ」
  
  「岡崎君、大丈夫か?」
  「はい。ぐっすりと寝てました」
  「顔色はいいな。明日は休んで来週からな」
  「はい。お疲れ様です」
  
  
 心配性の優介は階段を下りきるまで見守ってくれた。
 地面に足を付け、さあ、残り数メートルだ。
 歩こうと足を進める。
 だけど膝が笑ってるのか、ガクッとなり優介に抱き止められた。
  「大丈夫だから……」
  
 優介に笑顔を向けると、声がしてくるのは後ろからだ。
  「やっぱり寝て帰る方がいいね」
  「ゆ、優介。だって」
  「だってじゃないよ。待ってて」
  
  
 お願いだ。
 皆が着替えてる間に下りたのに、これ以上、へたれな姿を見られたくない。
  
  
  
  
にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村



関連記事

0 Comments

Leave a comment