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好きになったのは年上で意地悪な人 (5) 

 今までは筆記で落ちていた。
 年齢制限もあり40歳を過ぎないと受けれないし、色々と条件付きの昇段審査会になるので休む事はできない。

 狙いを定めた岡崎は2週間後に控えた審査会に意識を向けた。
 こうなるとコツコツ派の岡崎には利がある。


 そして、45歳の秋。
 三度目の受験で、六段を合格した。
 その証として賞を貰うのだが、それは年明けだ。


 タオルで顔を拭いていたら、ふいに声が掛かった。
  「おめでとう」

 その声に顔を上げると、師匠が目の前に居た。
  「師匠……」
  「これで師匠と呼ばれるようになったな」
  「師匠のお蔭ですよ」
  「優介も言ってたぞ」
  「何て言ってました?」
  「高校の時もそうだったけれど、目標がないと頑張らないから何か目標が見つかったのだろう。コツコツ派だから狙いを定めたら最後までとことん突き進むってな」
  「さすが優介だ。よく覚えてるな」

 頭を撫でられた。
  「よく頑張ったな」
  「14人終わった時点でへとへとでしたよ」
  「残る一人は気合だったな」
  「はい。あれ、何で知ってるのですか?」
 頭を撫でられるだなんて誰にもされなかったから照れくさいけど嬉しいものだな。
 自分が問うた疑問を師匠はスルーしてくれる。
 しかも、これだ。
  「帰るぞ」
  「はい。これからも宜しくお願いします」
  「皆、待ってるぞ」
  「皆って……、何処でですか?」
  「道場に”合格したぞ”って連絡あってね。飛んできた」
  「え、もう連絡が……」

  「皆待ってるから飛ばすぞ」
  「はい! え、飛ばすって……」

 意味が分からなかった。
 だけど玄関先に置いてあるバイクに跨がろうとしているのを見て理解した。
 バイクで飛ばして来たのか。
 なるほど、だから飛んできたって表現だったんだな。
 まさか、俺も乗るの?
 バイクだなんて初めてなんだけど……。



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