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好きになったのは年上で意地悪な人 (4) 

 山本君は、何かを思い付いたのか言ってきた。
  「あ……、スポーツにうってつけの人を思い付いた」
  「誰?」
  「山本君の知り合い?」

  「皆も知ってる人で」

 うんうん……と、期待して次の言葉を待つ。
 とんでもない人物の名前を口にしたのだ。
  「利根川専務」

 ぶっ……。

 俺もそうだが、皆も吹いていた。
  「い、いや、それは……」
  「えええ……」
  「何で、そんな人を……」

 あの専務の事だ。嬉々として来るだろう。
 そして、「高瀬について知ってる事を話せ」と言ってくるのが目に浮かぶ。


 山本君は不思議そうな表情をして聞いてくる。
  「え、何で、そう言うの?  ねえ、それよりも利根川専務にしてもらうのはどう思う?」

 俺は言っていた。
  「あの専務を呼んで指導を受ける位なら俺がやる」
  「え……」
  「岡崎さんが……」

 言いたくなかったのに、言っていた。
  「空手になるけど」
  「空手……」
  「え、岡崎さん、空手できるのですか?」

  「指導した事ないから不安だけどね」
  「格好いいです」
  「何でもできるんですね」
 皆の目がうるうるとなっている。


 実家を出ていて良かった。
 こんなのがばれた日には破門だけでなく、段も剥奪される。
 こうなると10月末の昇段審査会は、なにがなんでも合格しないと。
 そう、六段が受かれば”師匠”と呼ばれ、他人に教える事ができるのだ。
 


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