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甥っ子コンプレックス (31) 男二人旅、第三回目は。。。

 そして、3回目の男二人旅【ロシア】を実行した。
 その時は既にフォン・パトリッシュの名は世界中に知られていたので、ロシアへと足を向けるのも苦は無かったが、ヒロは鉄道を好んだのでジェットは断念した。
 しかし、紋付き正装は忘れない。
 先にモスクワへ行く。
 トレチャコフ美術館、ボリショイ劇場へと足を向け、ヒロはバイオリンを持ち路上で演奏する。その音に耳を傾けていた。

 次は、サンクトペテルブルクだ。
 有名なエルミタージュ美術館を始め、エカテリーナ宮殿やイサーク寺院、スパース・ナ・クラヴィー大聖堂へと向かう。どうやらヒロはチャーチみたいなのが好みらしい。

 中央ロシアでは、バイカル湖に向かった。
 ヒロは、ここで自分の別荘を買った。今回も自分のお金で払った。
 日本では父親の病院で働いていたらしく、サラリーは良かったみたいだ。
 買いたいと言う気持ちは分かるよ。
 バイカル湖は透明度の高い水で景色もそうだが、気持ちが良い。ロシア南東部にあり、1国と2州にわたって三日月の様な形をしている湖。

 ヒロは説明してくれた。
 「この湖は、日本にある琵琶湖より約50倍の大きさがあるんだ。とっても大きいよね。さすがロシア、広大な土地だよなあ…」

 琵琶湖というのが日本にあるのか。
 「もし、私が日本に行ったら、連れて行ってくれる?」
 「うん、良いよ。観光案内してあげるね」

 お姉様がヒロを産んだ国。そして数年だけでもお姉様が過ごした日本が、どんな所なのか知りたかった。他は要らない。ヒロさえ居れば良いんだ。

 そのバイカル湖の湖畔に2週間ほど居た。
 そこから、今度はアメリカ大陸の近くにある場所へと向かった。
 今度の交通機関は馬だ。私や側付は良いけど、ヒロは乗れるのだろうかと思っていたが、乗れるみたいだ。そのバイカル湖の湖畔の別荘に厩舎を作ったのは、その為もあったみたいだ。
 その別荘から、それぞれ馬を走らせた。休み休みだったので1週間ぐらいで着いた。

 目の前には海を挟んで大陸が見える。
 ベーリング海峡だ。
 そう、ロシア北東部にある島とアメリカ合衆国のアラスカ州の島に挟まれたベーリング海。
 目の前はアメリカ。
 しかも、ここは北極とも近いので寒い。ドイツは霧が多く肌寒い時もあるが、こことは違う。この海風と言うか、それが肌身に染みる。
 「ヒロ、寒くないかい?」
 返事は無かったが、ヒロの顔を覗きこむと言いたい事が分かった。
 思わず笑っていた。
 「ほらほら、おいで。抱きしめてあげよう」

 ヒロを抱きしめてやる。暫らくするとガチガチに強張っていた体が緩んだかのように力が抜けたみたいだ。
 「寒いよね。今夜の寝る所はどうする?」

 すると側付から声が掛かった。
 「マルク様、用意出来ました」
 「え、もしかしてテントでも張ったのか?」
 「違います。ここから馬で一刻ほど行った所にペンションがありまして、借りました」
 「さすがフィル。手際が良いねえ」
 「ありがとうございます」
 「ヒロ、行こう」

 手を繋いでやると握り返してくれた。
 「マルクの手って温かいね」
 「そうかい?ヒロが寒いのを我慢してるからだよ。ペンションまで私のポケットの中で温めてあげる」
 「ありがと」

 ペンションに着くと、フィルと一緒に連れてきたもう一人の側付ジョシュアが暖炉に火を入れて調節していた。
 「マルク様、丁度いい加減ですよ」
 「ありがとう。フィルとジョシュアも一緒に温まろう」
 「え、私たちもですか?」
 「そうだよ。こういう寒い時は一緒に暖を取ると、もっと温かくなるよ」
 「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて」

 そこには3日間しか居なかった。なにしろ寒かったからだ。それでも、ヒロと一緒に居れて嬉しかったものだ。
 そして、馬はヒロが買ったバイカル湖の別荘の厩舎に入れ、馬の世話をしてくれるように、人を頼んだ。彼等のバイト料はヒロが払った。


 2ヶ月ほど楽しんでドイツに戻ってくると、各々が仕事に戻った。
 非常に充実していた。
 ヒロは本部病院でのオペドクターとしての勤務だったから「近くに部屋を借りて住む」と言っていたが、私が条件を出したのだ。
 「一人暮らしも良いけど、ドイツに来てるんだ。オフの時は戻っておいで」
 「うん、オフの時は戻るよ」
 「約束だよ」
 「その時は遊んでね」
 「ああ、楽しみにしてる」






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そして、3回目の男二人旅でした。

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