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出会うから別れがあるんだ (7) 

 そして、こちらはドイツにあるフォン=パトリッシュの側付専用の建物。
 「フィルー、ウィルが帰ってこないよー」
 「ジョン、ウィルは任務だよ」
 「にしても、遅くない?」
 「手こずってるのかな…」
 「え、もしかして1人なの?」
 「そうみたいだよ」
 「ウィルは時々1人であるよね」
 「あいつは強いから大丈夫だ」
 「そうだね」

 ウィルはジョンには何も言ってないのか。
 言われても、ジョンには意味が通じないだろうな。
 そのジョンは御守りを握っている。

 ここでは実力が3位までの奴は個室を与えられるのだが、それ以外の位置に居る奴は3人部屋になる。ウィルが卒業した今、ジョンはフォローしてくれる奴が居なくなり虐めが酷くなっている。
 「ジョン、今日から一緒に寝ようか」
 「え、フィルと?」
 「嫌か?」
 「ううん、嬉しい」

 ジョンは目をキラキラと輝かせベッドに潜ってきた。
 「えへ、フィルと寝るのは久しぶりだね」
 「そうだな」

 ジョンはブツブツと文句を言いだしてきた。
 「まったく、ウィルは任務なら任務だと言って欲しいね。秘密主義なんだから」
 「急に決まったから言えなかったんだろ」
 「フィルは知ってるのに?」
 「あいつが出掛けようとしている時に会って、その時に聞き出したんだ」
 「それじゃ、会えてなかったらフィルも知らなかったって事?」
 「そうだよ」
 「まあったく、あの秘密っ子は」
 「ジョン、悪口もその辺にして寝よう」
 「うん、お休み」
 「お休み」


 もう戻ってこない仲良しウィル。
 いつも3人でくっ付いていた。
 ウィル、元気で。

 ジョン。
 君は知らないだろうが、あいつはお前をずっと護ってきた。
 任務を終えて戻ってくる度、心は闇に少しずつ飲まれていく、蝕まれていくんだ。
 それでもジョンが居るから、まだ保っていられたんだ。
 人間で居られたんだ。

 今のジョンには難しいだろうな。
 ウィルと私にとって、君は人間に戻してくれる存在なんだよ。
 いっそ闇に飲み込まれると楽になれるのに。
 でもジョンが居るからこそ、私たちは物事を考える事が出来るんだ。

 あいつは卒業したよ。
 もう二度と会う事は無い。
 お前に言わなかったのでなく、言えなかったのだろう。
 言えば泣かれるから。
 お前の泣き顔を見ると意志が揺らぐから。
 だから、お前も強くなれ。
 私も手伝ってやるからな。




 静かに夜は更ける。
 急に痛みがきた。
 「うー…、何なんだ…」
 「ったいよぉ…」

 声のした方を見るとジョンは頭を擦っている。という事は、こいつの頭突きを食らったという事か。
 顎を擦っていた。
 「うー…」

 ジョンは頭だ。
 「んー…」

 仕方ないなあ、自業自得だ。
 「大丈夫かあ?」
 「ぶじゃない…」
 「俺の顎にぶつけて、お前はあ…」
 「ごめん…」
 「寝相の悪い子は、お仕置きだっ」
 「っめんなさーい」

 ウィル、ジョンは任せろ。
 お前は自分の選んだ道を行け。








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フィル視点のお話でした。


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