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GW旅行は能登半島 (50) 

 久しぶりの家。
 嘉男さんの了承も、お父ちゃんの了承も得ている。
 その家に近付きだしてから冴木君の様子が変わってきた。
 「あの…」
 「待って、こっち側は裏だから表の方に回って。あの曲がり角を左に曲がって…」
 車は言われたように道を曲がる。

 「もう少し行ったら門の前に駐車スペースあるから、そこで止まって」
 車は止まり、政行は助手席から降りると車の後ろに回り込み荷物を下ろそうとトランクの蓋に手を掛ける。と同時に執事の声が聞こえてきた。どうやら門前で待機していたようだ。
 「お坊ちゃまっ」
 「あ、爺ちゃんセンセー、ただいま」
 「お帰りなさいませ。荷物を運びますね」
 「重いから良いよ」
 「大丈夫です。まだまだ若者には負けませんから」
 「お父ちゃんは?」
 あちらですと指し示された方に目を向けると、何かをしているみたいだ。
 近寄り声を掛ける。
 「お父ちゃん、何してるの?」
 「ああ、お帰り。お前が帰ってくるから、門の掃除してるんだ」
 「え、お父ちゃんが掃除…」
 「あいつに、暇ならして下さいと言われた…」

 すると悲鳴に近い声が聞こえてきた。
 「え、しゃ、社長っ?」
 
 その声の方に目を向ける。
 「冴木君が、ここまで送ってくれたんだ」
 「峰岸じゃないのか」
 「うん。峰岸君は忙しくて」

 お父ちゃんは門から表に出ると、冴木君に声を掛けていた。 
 「冴木君、お疲れ。息子を送ってくれてありがとう」
 「い、いえ、こちらこそ」

 今日の仕事は常務の送迎だけで、有休扱いになっている冴木は私服だ。
 青色とクリーム色のストライプシャツは7分丈という袖の長さ。それとチノパンという姿だ。
 こんな事なら、スーツを着るべきだった。
 
 そんな冴木君をそっちのけで、政行はリュックを背負い、両手で大きなバケツを持ちながら、父に声を掛けている。
 「お父ちゃん、荷物を運ぶの手伝って貰える?」
 「あいつは?」
 「若者には負けませんなんて言ってたけど、あれ見て」

 息子が指差ししている先を見ると、執事のへっぴり腰の恰好があった。
 お父ちゃんは笑い出した。
 「あいつは負けず嫌いな所があるからなあ」
 「あと3つなんだ。1つで良いから」
 「3つ位持てるぞ」
 「いや、爺ちゃんセンセーの事もあるし…」
 「大丈夫だ」と、なおも言い切る父に政行は言っていた。
 「なら2つ、お願い」
 「分かった」

 だがお父ちゃんが持った荷物を掻っ攫う様に冴木君は奪い持った。
 「どうした?」
 「お運びします。何方に持って行けば宜しいでしょうか?」

 丁度いいタイミングで執事が声を掛けてきた。
 「私が持って行きますので、お心使いありがとうございます」
 「あ、い、いえ」

 冴木君の手から荷物を受け取った執事は主人に渡している。
 「はい、2つどうぞ」
 「お前は、いくつ持つ気だ?」
 「1つです。年寄りをいたわりましょうね」
 どうやら、先程の荷物の重さに懲りたらしい。その執事に「誰が年寄りだよ」と桑田家の主人は笑いながら、2人して荷物を政行の私室まで運んでいく。

 その後姿に冴木は叫んでいた。
 「あの、それでは失礼致しますっ」
 「ああ、ご苦労さん」

 執事も声を掛ける。
 「お坊ちゃまを送って頂き、ありがとうございました」
 「どういたしまして。それでは、失礼致します」


 このコロッと変わる有様に、政行は付いていけないでいた。
 






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政行君、人との付き合いの無さが分かるものですね。


エブリスタさんで書きおろしの作品を更新しております。
ジャンルはファンタジーです。
エロ気は、全くありません。

『龍神の宮殿』

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『龍神の宮殿』

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現在更新中の『GW旅行は能登半島』と、次作の悟&優介の作品から内容を抜粋&合作しての作品です。
龍視点の話です!(←ここ大事)


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