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GW旅行は能登半島 (49) ~秘書の力、炸裂

 気が付いたら病院のベッドに寝かされていた。
 何処の病院なんだろう。
 動こうとするが痛みが襲ってくるので動けない。
 「うー…」

 ノックが聞こえドアが開いた音も聞こえてくる。近くまで来たのだろう、声が聞こえてくる。
 「常務、目が覚めたみたいですね」
 「みねぎ」
 「どうして、こうなったのかは加害者から聞き出す事が出来ませんでした。だけど、一つだけ教えて下さい。私を出し抜けることが出来て嬉しかったですか?」
 「そんな事、思ってない」
 「エレベーターから出たのかどうかが分からなかったのでセキュリティビデオを見た所、一般社員に押し出されるように外に出ていたみたいですね。それは不可抗力だと思います。ですが、車寄せの所に居ると良い、と思いませんでしたか?」
 「冴木君は」
 「彼は仕事中です。彼に話したいですか?」
 
 その言葉を聞くと、政行は素直に昨日の朝の事を話していた。
 「だから?」
 「送迎無くても良いです」
 「人間、楽な道ばかりじゃ進歩しないですよ」
 「だって…」

 うじうじとしている上司に峰岸はきっぱりと言ってやる。
 「私が何も考えずに人を配すると思わないで下さい。
 あの4人の中で、玖倭田君が一番人当たりが良くて癖のない人間だけど、他3人は違う。
 島崎君は人を見下し上司を上司だと思わないからこそ桑田専務のサブをさせていて、
室田君は自己主張が強く安藤専務だからこそやっていけてる人です。
 冴木君は自分から歩み寄る気は持ち合わせず、サドな人で毒のある物言いをし、サブとは言え本田専務の秘書をしてるのですよ。
 それを貴方は替えっこしたいと言ってきた。同じ”くわだ”だからという事で。
 アスリートしていた時はどうされていたのですか。
 人間関係や人付き合いは無かったのですか?」

 「泳ぐ事しか考えてなくて…。人付き合いと言うのは無かったから」

 「はっきりと言います。冴木君は貴方を常務とか、社長子息だという事は微塵も思ってない。だから後部座席に座らせる事も念頭に無く、助手席に座らせようとした。
 たまたま利根川専務の送迎が来て、それを見ていたので真似た。それだけです」
 「どうすれば…」
 「何も考えずに替えっこしたいと言われたのは貴方ですから、1ヶ月半我慢して貰います」
 「はい…」
 「いい機会です。人を見る目を養ってください」
 「はい…」
 「入院期間は3週間です。退院の時は冴木君に来て貰いますので」
 「分かりました…」
 「お大事に」
 そう言って峰岸君は病室から出て行った。


 思わず溜息を吐いた直後、声が聞こえてきた。
 「溜息ものだねえ」
 「ボス、どこから…」
 「峰岸君の言う通りだよ。それにしても派手にやられたねえ」
 「ごめんなさい、俺」
 「坊ちゃんは昔からそうだ。いい機会だから、人を疑う事をしてみよう」
 「でも」
 「あのね、現世を生きてるんだ。人として生きていくのだから、人付き合いは必要だね」

 そう言うと、ある物をベッド脇に置いてくれる。
 「父が持って行けと言ってね」
 「爺ちゃんセンセーが?」
 「入院するのに必要な物だって」
 「ありがとうございます」
 「社長も常務も秘書も人間だよ。楽な事ばかり考えずに、泳いでいた頃を思い出してチャレンジしていって欲しい」

 それじゃと言って、出てきた所へ、ベランダへと出て行こうとしている。
 「なっ、そっちは…」
 「大丈夫、それじゃ」


 入院中はバイト先のボスと山岡君と嘉男さんと爺ちゃんセンセー(執事)と、お父ちゃんは毎日来てくれたし、利根川が一日おきに来てくれたのには驚いたものだった。
 話を聞いたのか、高瀬も来てくれた。
 峰岸君は週に2回だけど、冴木君は退院するまでは一度も来てくれなかった。

 折れるのは自分だよな。
 覚悟を決めた。
 「冴木君。良いですか?」
 「何ですか?」
 「あの、ごめんなさい。心配かけて申し訳ありませんでした」
 「いえいえ、驚いたけれど無事で良かったです」

 ああ、冴木君の笑顔が悪魔に見える。
 「それでは、ご自宅に」
 「家に帰るんだ。送ってってくれる?」
 「はい、そのつもりです」
 「マンションでなく家の方だよ。分かってる?」
 「マンションでなく、家?」
 「家。自分の家の事だよ。そりゃマンションに住んでるけど、今日から帰るのは家の方」
 「マンションでなく…、家とは、どちらになるのですか?」
 「どちらって…、お父ちゃんの…。ああ、ならナビゲートしてあげる。よろしくね」
 「はい」








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峰岸は言いたい事を言ってのけたのねw

そして、入院期間が、あっという間に終わりましたwww(はやっ

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