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GW旅行は能登半島 (47) ~拉致誘拐?

 その日の終業時間を迎えた政行はエレベーターに乗ると、他の一般社員に押されながら狭苦しい所から押し出され移動していた。
 そうとは知らずに送迎担当の冴木は探し回っていた。
 居ない。
 何処に行ったんだ。
 峰岸さんから常務は定刻通りに部屋を出たと連絡があって駐車場のフロアのエレベーター口で待っていたのに。どうして…。

 電話をしていた。
 相手が出ると挨拶も無しに、いきなり本題に入る。
 「峰岸さん、常務はまだですかっ」
 『冴木君、どうしたの?』
 「常務は、まだ来られてないです」
 『え、だって…』
 「あ、まさか1階の車寄せの方に居られるのかな」

 今朝は、その1階の車寄せで降ろしたからだ。
 『冴木君』
 「待って下さい。1階を見てきます」

 峰岸はこのまま改札を通るかどうかと迷い、プツッと切れた通話アプリを眺め見る。
 程なくして再度掛かってきた。
 「峰岸さん、やっぱり居ません。どうしましょう」

 その言葉に、思わず口から出た言葉はこれだった。
 『誘拐…』

 引継ぎの時、高瀬さんから話を聞かされていた。
 二度、誘拐された事があり、一度目はニューヨークで氷漬けにされカナダの海に放り込まれたが知り合いに助け出され生き返り、二度目は都内の勤め先で会ったスイミングジムで掻っ攫われ、結果としてアスリートとしてやっていけない身体になった。二度とも自分の目の前で掻っ攫われたんだ。二度あることは三度あるかもしれないと思ってる、と。
 その言葉に気が付いた峰岸は呟いていた。
 『あ…、一体、どこの誰が…、拉致ってくれたんだ…』
 「拉致って、まさか…、常務…」


 峰岸は、まだ帰ってない秘書を動員して探させていた。
 そうとは知らない政行はバイト先に着いていた。
 「おや、出てこれたの?」
 「はい。電車に乗ってね」
 「電車か。なるほど、してやられた峰岸君の悔し顔が目に浮かぶよ」
 「だって、俺はいつも電車通勤してたから。定期が無くてもお金があるのだから切符を買えば良いだけの話ですよ」
 「わははっ、たしかにそうだ」


 もう一人のバイトである山岡はバイト先に本人が居るのを見ると驚いていた。
 「え、なんでここに…」
 「だって、仕事しないと。2週間分溜まってるんだよ」

 すると、山岡君はとんでもない事を言ってきた。
 「峰岸さん、真っ青な顔をして探してますよ。拉致誘拐されたって喚きながら」
 「ええっ」

 うーん、どうにかして穏便に済ませたいなあ。
 そりゃ、今迄に何度か拉致られた事あるけど。峰岸君が相手だと調子狂うなあ。まだ高瀬の方が性格とか分かってるからやり易かったのにと思いながら政行はボスを見つめていた。
 そのボスはこっちの言いたい事を分かってるくせにとぼけた表情をしている。
 「ん、何?」
 「峰岸対策を教えて下さいー」
 
 ボスは笑ってばかりだ。
 「覚悟を決めて送迎車に乗る事だな」

 その言葉に山岡君は口を挟んできた。
 「え、まさか送迎が嫌なんですか?」
 「送迎自体は我慢出来るの」
 「何が我慢出来ないのですか?」

 政行は愚痴っていた。
 「あの虐めっ子冴木君が嫌味かましてネチネチと虐めてくるのが嫌なの。それとコロッと態度を変えるのも嫌」

 ボスは苦笑しだした。
 「もう一人は冴木君か。彼はサドだからねえ」
 「え、虐めっ子よりもサドの方なの?」
 「ヤリ手秘書とサド秘書のタッグか。これは苦しい戦いだね」

 
 「とりあえず、今回はどうしよう…」

 その呟きにボスはこう返してくれる。
 「こっちで仕事して、あっちを休むか」
 「それは別に良いんですけど、後が怖そうだ…」

 そんな政行にボスと山岡君は2人とも笑って返してくれた。
 「自業自得だね」って。







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まあ、高瀬ったらそんな事を引継ぎで言ってたなんて。。。


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