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ぼっちのクリスマス (23) ~たった一言

本当に、トニーのバカ。
追いかけてこようとしていたトニーの鼻先にドアをぶつけてやったから、今頃は痛さで泣いてるだろう。ふんっだ、俺の心の痛さと比べればマシだね。
パーティーを楽しみにしてたのに、あいつ等に邪魔されるわ。
トニーに”温めて”と言ったら”任せろ”と言ってくれて、楽しみにしてたのに。
トニーは、どこかへ行っちゃったし。
しかも、クリスマスプレゼントだなんて物で俺を懐柔しようとしてくるし。
とに、もうっ…。
 「あ―!」
叫んでいた。
何故、言えないんだ。
たった一言を言ってくれればいいのに。
何でなんだよ…。
トニーのバカ、アホ、マヌケ、アンポンタン。
 「トニーのバカ…」


トントン…。
ノックされてるのか、トニーかな。
 「誰ですか?」
 「フライトだよ。ジュン、良いかな?」
 「煩くしてごめんなさい」
 「いや、そういう事では無くて」
 「ごめんなさい、誰とも会いたくないので」
 「トニーにも?」
その言葉に身体が揺れる。
 「ジュン、トニーにも会いたくないの?」
会いたいよ、でも今は無理だ。
 「トニーとの会話が煩くて丸聞こえだったんだ。だから、内容は分かってる」
げ、嘘だろ。
 「俺はトニーに言ったよ。悪いのはトニーだと。どうして悪いのか自分で考えろと言っておいた」
何も言えなかった。
 「ジュンがやけくそになるのは分かるよ。それだけ言いたかったんだ。それじゃ」
暫らく経つと、足音が去っていく。

フライトが去って暫らくするとノックが聞こえる。
 「誰ですか?」
 「ジュン、あ、あの、さっきは」
俺のバカ、居留守を使えば良かったのに。
 「ジュン、開けるぞ」
 「開いてません」
 「開けて」
 「どうして?」
 「渡したい物があるんだ」
 「要らない」
 「お願いだ。それに顔を見たいから」
その言葉に、どんな意味が隠されているのだろうか。
そう思うと、チェーンを掛けたまま、少しだけ開く。
 「何?」
 「そ、その…」
居心地悪そうな表情をしてトニーは言ってきた。
 「その、ごめんなさいっ」

いきなりで思わずドアのノブを握っていた手から力が緩み、ドアは閉まっていく。
 「わー、閉めるな。閉めないでっ」
ガチャッとドアが閉まる前にトニーは手を挟んでくる。
 「そ、その…、仕事に目が眩んで、思わずボスに電話していた。そんな俺が言うのもあれなんだけど、でも忘れてないから。だから、俺が悪かった。
ごめんな。
殴りたければ殴れば良い。鞭でシバかれても文句は言えない。
俺が悪いのだから。本当に、ごめん。ごめんなさい」

そう言うと、トニーは頭を下げてきた。








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たった一言。
それが中々言えないんだよね。

次話は最終話です。

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