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清水朝巳の腐道中 (12) ~見返り、それは…

※雄吾Side part2※

そのピッチピチの子に近寄って行く。
 「ねえねえ、君、さっき踊ってたよね」
その子は足も止めずに通り過ぎようとしているが、雄吾はめげない。
 「君」
だが無視して歩き去ろうとしているので、その子の肩に手を掛け、もう一度声を掛ける。
 「ねえ、君の専門は何?」
やっと、こっちに向いてくれた子は、厳しい口調で返してくれた。
 「そんな事、お宅には関係ないだろ」

その子はサッサと通り過ぎようとしているので、腕を掴んで立ち止まらせた。
 「あのな」
 「当てて見せよう。君は理数…、いや情報かITのどちらかで、3年生で就活中」
どう?と、にっこりしてやる。
 「何が望みだ?」

その時に気が付いた。
警戒心が強い子だと。
それに、この目。
良いねえ…、あいつとよく似てる。
なので、自然と笑顔になって言っていた。
 「さっきのカンフーのダンスを教えて?」

すると目の前のピッチピチの子は顔を少し赤らめた。
 「分かった、分かったよ。降参」
そう言って両手を上げてきた。
 「よく分かったな。ITの3年だけど、スポーツ系の仕事を探してる。親は反対してるけどな…」
その言葉に思わず聞いていた。
 「どんなスポーツ?」
 「どんなって…。まあ、さっきの踊り教えてやるよ」
 「やったっ」
思わずガッツポーズしていた。


後ろの連中は文句の嵐だった。
 「えー…」
 「あんな堅物が好みなのか」
 「卑怯者ー」
 「あんな表情で見つめられると落ちるの無理ねえよぉ」
 「昴、たらしの名を返上しろよ」
 「るっせ、俺に落ちない奴なんて興味ねえよ」
なるほど、俺に色目を使ってきたのは昂君って言うのか。
 「それじゃ、昂君。色目だけじゃ人は落ちないからな」
 「るっせえよ、俺を振った事後悔させてやるっ」
あははっ…、と笑いながら雄吾はピッチピチの子と一緒に歩き出した。


2回ほど教えて貰うと、3回目は一人で踊った雄吾は褒められた。
 「へえ、飲み込み早いんだな」
 「これでもスポーツ好きなんだ」
 「それに、微妙な所も完璧だし」
 「ありがと」
 「一緒にやろうよ」
 「何を?」
 「ダンス」
 「嬉しい誘いだね」
その時、ダンスもメニューに組み入れば良いなと、ふと頭の中をよぎった。
すると、こう言われてしまった。
 「その代り、人の身体をジッと見るの止めてな」
その言葉に苦笑しながら雄吾は頭を掻く始末だった。
 「バレてたか」
 「そりゃあ、もろバレだ」

その言葉にも苦笑して、鞄から一枚取り出した。
 「俺、雄吾。君の名前教えて」
 「え?」
 「君に、そのやる気と勇気と覚悟があるなら、見においで」
そう言いながら手渡した。

 「ちょ、ちょっと、こんなの要らなっ…」
それを目の前に居る雄吾に突き返そうとしていた。
 「え、これって名刺…。お金かと思った」
 「うーん…、踊りでお金をもらうには、まだまだ努力しないとな」
だが、その子は名刺の文字を見つめているのか、名刺に釘付けになっている。
その内に分かったのだろう、顔を上げてきた。
 「えっ!ちょ、ちょっと待って、この会社って…」
 「楽しい時間を、ありがとー」
バイバイと手を振って雄吾は他の場所へ向かった。

そう、雄吾はオファーを掛けるつもりで打診をしたのだ。
自分の好みと言うのもあるが…。
その子は、雄吾の後姿を眺めていた。




その頃、志水浅海は名古屋駅の構内を探し回っていた。
居ない。
寝てしまった自分が情けない。

はあ…、と溜息を吐いた浅海は重い腰を上げた。
まあ、行先は知っている。
詳しい場所は知らないが、行くか。









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動き始めた雄吾。
果たして、結果は。。。。。。?
そして浅海君は、いち早く倉敷へ。
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