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社員旅行は南の島 (26)

※政行視点※


誰かの「ご飯だよー」という声を合図に、高瀬は社長と共にリビングに出てきた。
俺の顔を見た途端、また笑い出す。
 「いい加減にしてっ」
 「だって、お前が一番濃度が濃い…」
 「うぅ…」

高瀬は、お父ちゃんに何か言ってるみたいだ。頷いた父親は「重役連中、ここに一列っ」と声を掛けてくる。高瀬の奴、何をお父ちゃんに言ったのだろう。
素直に一列に並ぶ社長を含めた重役9人。
途端に笑い声が聞こえてきた。
 「わははっ…。腹痛ぇ…、やっぱり、あいつが一番黒いや」
高瀬の声だ。
あの野郎…。

息を吸って大声で言ってやる。
 「高瀬っ!いい加減に笑い上戸を直せっ」
すると、皆の視線が俺に集まった。
少しして大爆笑がおこった。
秘書たちだ。
 「あはははっ…。く、くわっ…」
 「ははははっ…、桑田常務、何をされていたのですか?」
 「ヒー…、ほんとに他より真っ黒だ」

桑田専務の声が、それに応じる。
 「私が教えてあげよう。桑田常務はね、イルカと仲良くなって11日間ずっと泳いでたんだ」
その言葉に秘書たちは反応する。
 「11日間、ずっと?」
 「イルカと?」
その声に、俺は叫んでいた。
 「ち、違いますっ!11日間ずっとでなくっ」

今度は利根川専務が口を挟んでくる。
 「イルカに拉致られ、他人に心配かけさせたほどだからな」
さっきと同様に秘書たちは反応してくる。
 「えっ…。イルカに?」
 「拉致って、どうやって?」
その声にも、俺は叫んでいた。
 「ち、違いますっ!一緒に泳いでいただけでっ」

今度は安藤専務が遮ってくる。
 「桑田常務が海に入ると、イルカがどこからともなく寄って来るんだ。それこそイルカの使い手と言っても過言ではない」
その言葉にも、秘書は反応する。
 「イルカの使い手…」
 「凄いなー」
その言葉にも、俺は叫んでいた。
 「違いますっ!ただ、単に偶然に会っただけでっ」

お父ちゃんの声もする。
 「イルカを手懐けて魚を貰ってたんだ」
その言葉に、秘書たちはざわつく。
 「イルカを手懐けるだなんて…」
 「さすがだ…」
もう…、お父ちゃんは何を言ってくれるのか。
腹が立っていた。
 「ちがっ……」
口を塞がれてしまった。
これだと文句も言えないではないか。
お父ちゃんの声は続いてる。
 「裸になって、一緒に泳いでいたんだ」

お父ちゃんの手を引き剥がそうとするが、これまたバカ力みたいだ。
 「んー、んー、んー、んー……」


力を込めて、お父ちゃんの手を引き剥がしてやる。
 「お父ちゃんっ!!何て事を言うのっ」
 「裸ん坊になってたじゃないか」
 「俺だけじゃないもんっ」
 「お前が一番多いんじゃないか?」
 「瀬戸常務と久和田常務と高橋常務も一緒になって風呂代わりにしてたんだっ」

秘書の一人が口を挟んできた。
 「サバイバルともなると、風呂をどうするか。一番、気になりますよね?」
思わず返していた。
 「でしょ?だから海を風呂代わりにしてたんだ」
 「海水は綺麗でした?」
 「うん。とっても綺麗だったよ。イルカだけでなく、熱帯魚とかいろんな魚が泳いでてね。
皆で魚を素手て掴まえたりしてたんだ」
 「楽しそう」
 「楽しかったよ。魚の方がすばしこかったけどね」
 「楽しいっていう表情をされてるので、私共も聞いてて楽しいです」
 「嬉しいな。ねえ、皆はどうしてたの?」



秘書たちは安藤専務からヴィラ作りの課題を貰ったことを話してくれた。
誰も、高瀬の怪我には触れなかった。





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3周年記念SSの投票、ありがとうございました<(_ _)>

そして、秘書と合流した重役。
彼等の語りが、始まりましたね~


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