FC2ブログ

雅治の春休み (9)

あれから、俺視点なんだけど、と前置きして、あの時の事を話したんだ。
話し終えたら、西田先生は「よし、録音完了!」と嬉しそうな表情で言ってきた。
なにが録音完了なんだろ…と思ってたら、いつの間にか手には見覚えのある録音レコーダーを持っていた。
あ、もしかして今の話…と思っていたら、俊平は西田センセーの胸倉を掴んで殴り込みそうな雰囲気だったのだが、それを阻止する事は出来なかった。
だって、西田センセーが言ってくるんだから。
 「まあ、素直に殴られてやる。これがギャラだと思ってな」と。
そしたら、素直に俊平はやっていた。
 「そうか、そうかよ…。この、ジジイがー」

だが、俊平の的は、その録音レコーダーだった。
すかさず西田が他の顧問にレコーダーを投げ、俊平の拳はレコーダーを受け取った顧問の顔を叩いたが、すでにレコーダーは違う他の顧問の手に渡っていた。その顧問の手にしているレコーダー目掛けてキックしてるし…。
だけど、コンマ瞬ほど遅く、他の顧問の手から手へとレコーダーは飛んでいき、西田センセーの手元に戻ってきたレコーダーは、何故かひしゃげていた。
 「うー…」
 「痺れる…」
 「ってえなあ…」
 「お前、ほんと磨きに磨き掛けてんだな」
俊平は即答だった。
 「高校生相手より大学生相手の方が動きが俊敏なんだよ。それに何を考えてるのが分からないからな。お前等も、高校生ばかり相手にして、それ以上腕を鈍らすなよ」
 
 「言ってくれるよなー」
 「刺激が無いからなあ」

俊平は俺の方を向いて言ってくる。
 「ほら、帰るぞ」
 「は、はい…」



俊平と治は知らない。
西田の他にも、録音していた人物の存在を。
 「西田先生」
 「あ、校長先生」
 「それは使い物にならないだろう。私も録画していたから、後でDVDに焼いてあげるよ」
 「え、録画って…、頂いても良いんですか?」
 「あいつの殴りと蹴りのも録画したんだ。それも付けてあげるよ」
 「ありがとうございます。何かがありそうな予感がするのですが」
 「先に校長室に来てくれるように言ってくれたのだろう?そんな粋な事をしてくれた西田先生に感謝してる、そのお礼だ」
 「そう言われると嬉しいです。有難く頂戴いたします」



そして、帰宅途中に拳骨を食らったのだ。
 「ったいよぉー」
 「まったく、お前は…。いつの間に、お喋りになったんだが」
 「俊平、東京に戻ろうよ。俺、東京が恋しい」
 「そんなにも東京が良いか?」
 「ここは、高1までの俺を思い出させる。嫌な事もあったけど、俺は俊平と東京に居たいんだ」
 「治…」
 「それに、エッチするにも気兼ねなく出来るからね」
 「ったく、お前らしいっちゃ、らしいけどな…」
 「しゅ…」
 「分かったよ。明日になったら戻ろう」
 「今日でも良いんだけど」
 「おばさんに言わないといけないから、明日の朝な」
それ言われると何も言えない治は素直に頷いた。



その晩は、治と俊平の2人合同で夕食を作り、3人で食べた。
その時、治は「明日、東京に戻る」と言うと、母から睨まれてしまった。
 「いい事、2人とも?」
 「ん、何が?」と治は聞き返していた。
 「この家に帰ってくる時は、俊ちゃんはリビングのソファで寝て貰うからね」
その言葉に俊平は聞き返していた。
 「え、ソファですか?」
 「そうよ、私が何も知らないとでも思ってるの?」
 「いったい、何の事を」



あろうことか、お母ちゃんの言葉は想定外な事だった。
だって、こう返してきたんだ。
 「治とエッチしてたでしょ」





にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村


朝は楽しく過ごした治に、夜はお母様からのキツイ一言。
バレてたのね(汗)
関連記事

0 Comments

Leave a comment