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弟と兄 (48) ※祐樹視点※

※祐樹視点※



兄は、いや道夫さんは俺を抱きしめ、耳元で囁くように言ってくれる。
 「誕生日おめでとう。これからはずっと一緒だよ」
 「ありがとう…。俺、本当に嬉しい」


なので、背伸びしてキスしてやる。
兄はくすくすと笑ってくる。
 「何?」
 「ん、背は伸びないなとおっ…」


踵で兄の足を踏ん付け、ゴリゴリとしてやる。
 「ゆーうーきー……」
 「ふんっだ、これでも180超えてるんだよっ」

それを見下ろすだなんて、190以上ある奴はバケモンだよ。


くすくすっと笑いながら兄は言ってくる。
 「ほんとに、可愛いよな…」

その言葉を向けてくれる兄を睨み付けてやる。
 「ごめん、ごめん。祐樹、あれがあるんだ」
 「なんだよ」
 「ケーキも買って帰ったんだ。夕食を食べた後に食べよう」


ケーキ。
それは、俺にとって大好物な物。
一気に気分は浮上した。

 「ねえ、どんなケーキ?」
 「それは食後のお楽しみ」
 「んー、待ち遠しいなあ…」



ちょっぴり豪勢に寿司を握り、すき焼きが夕食だ。
その夕食後、兄が差し出してくれたケーキの箱を開ける。
 「わあっ…!」

チョコレートケーキに粉砂糖を振らせ、「Happy Birthday」というネームが乗っている。
兄はごそごそと何かをビニール袋から取り出し置いてくれる。
砂糖で作った男の子の人形が2体だ。
手を繋ぐ様に、兄はネームの前に置いてくれた。

 「可愛いっ」
 「こっちが祐樹だよ、名前掘って貰ったんだ」
 「仲良しだね」
その言葉に兄は微笑んで言ってきた。
 「たまには言い合う事もあるけどな」
 「だって俺たちは人形やロボットで無いんだよ。人間なんだ。感情を持っているんだ」
 「泣いたり笑ったり、怒ったり、愛する事もな」
 「うん」


思わず見つめ合っていた。
 「祐樹…」
 「おに、道夫さん…」

俺はどうしようかと悩んでいた。
キスするか、しないかのだ。
だけど、目の前にあるのは……。

兄に向かって、一言だけ言う。
 「目、瞑って」


兄は素直に目を瞑ってくれた。






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うんうん、祐樹の行動は分かるよ。
言われたくないよねー
しかも、好きな人に。。。
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