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サドなアイツと俺 (29) ※ついにカミングアウト※

その週の金曜日は、パースへ帰った。

あれから3ヶ月経った5月。
ずっと呆けっとしていた。
大学に通うものの肝心の就活が出来てない。


そんなジュンが気になったマサは聞いていた。
 「ジュン、フランスはどうだった?」
 「フランス…」
 「遊び過ぎたのか?」
 「何で?」
 「今迄に無いほど落ち込んでるから、どうしたのかなと思って」


誰にでも話したがるスズメと違い、マサとユタは口が堅い。
ユタよりはマサの方が話し難いのは纏っている雰囲気とか職業柄というのがある。
でも、マサならダディやヒロには話さないだろう。
そう思ったので、マサに話した。

それを聞いたマサは驚いていた。
 「えっ……」


絶句しているマサを見るのは、嬉しかった。
だって、顔の表情が変わらない人なんだもの。
ああ、マサも人間なんだ…、と思えたジュンは話し掛けていた。
 「で、どうすれば良いのか悩んでるんだ」
 「もう一度行ってみたら?」
 「でも…」
 「あれから3ヶ月程経ってるのだから、相手も冷静になっているだろう。
もしかしたら既に過去の一部として片付けてるかもしれない」
 「ええっ、そんな俺だけ悶々と…」
 「悩んでばかりいるより行動だよ」
 「それは、そうだけど…」
 「他にもあるの?」
 「う…」

 「ああ、卒業後の就職か」

何も言わなくても分かってくれるのは相変わらずだな。


マサは言ってくる。
 「そうだな…、ならパン屋で働いたらどうだろう」
 「パン屋?」
 「ああ、珈琲や紅茶、パンの作り方でも教えてもらいながらレパートリーを増やしていく」
 「そういうのは考えもしなかった…」

ジュンの様子を見て、マサは言ってくる。
 「あのね、ジュン」
 「なに?」
 「私は、大学は医学部だったんだよ」
 「え、マサも?」
 「そうだよ、ボスと同じ大学で同じ医学部を卒業したんだ。
大学卒業して最初は病院で働いたが、刑事になり、日本だけでなくフランスを中心とした欧州に籍を置いていたんだ。そして、ここパースで警備警護会社をしているんだ」
 
ジュンは関心していた。
 「へえ、医者よりも警察関係の仕事が向いてるんだね」

その言葉に、マサは嬉しそうだ。
 「そうだよ。医学部に行ったから医者しかない、というものでは無いんだ。
ジュンの様に国際部で色々な国に行ったのなら分かると思うが、ドイツや日本はどうだった?
国際人としての活躍ならたくさんあると思うよ」
 「例えば?」
 「貿易関係、翻訳関係は勿論のことだけど、住んでた地域で何をしてたの?」
 「え…」
 「その国の歴史だけでなく経済情勢や日常的な事を思い出してご覧」
 「あ…」


思い出してるのかジュンの表情は明るくなってきた。
呟くようにジュンは言ってる。
 「楽しい思い出のある所が良いよね?」
 「そうだね」
 「それならドイツだね。あとフランスも…」



高校時代の3年間はドイツで暮らしてた。
そして、キョージが亡くなり大学入学して、6ヶ月程ドイツの大学で講義を受けていた。
その3年半は、フランスで暮らした6ヶ月間とは比べ物にならないほどの思い出がある。



でも、パン屋ねえ。
そういえば、オーナーは近くにある調理学校に通ってたって言われてたよな。
うん、ダディに話してみよう。


その年の7月上旬。
大学を卒業したジュンは直ぐにフランスに渡った。
お世話になったフラットに住むことが決まったからだ。

もう逃げない。 












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パースに戻って来たジュンは、マサにカミングアウトしたのね。
その人選は正解よ。
これがユタだったらボスに話してたかもね。。。
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